2018/11/20

超高齢患者の急性入院中の運動介入は安全で効果的か?

Effect of Exercise Intervention on Functional Decline in Very Elderly Patients During Acute Hospitalization
A Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med. Published online November 12, 2018.

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2714300


<背景>
機能の低下は、急に(acutely)入院した高齢患者でよく生じている。
運動と早期リハビリテーションプロトコルを急性期入院中に実施した場合、機能的、認知的機能の低下を防ぐことができると考えた。

<目的>
入院患者に革新的な複数の内容の運動介入を行う効果を検証すること。

<方法>
単施設、単盲検、臨床試験を2015年から2017年にスペインの急性期病院で実施。
合計370人の超急性期患者が無作為に運動群とコントロール群(通常ケア)に分けられた。

<介入>
コントロール群:必要時に身体的リハビリテーションを実施。
運動群:中等度強度の筋トレ、バランスex、歩行を1日2回実施。

<主なアウトカム>
プライマリーエンドポイントは、Bathel IndexとSPPBのベースラインと退院時の変化量。
セカンダリーエンドポイントは、認知機能、QOL、握力、せん妄の発生、在院日数、転倒、転院、退院後3ヵ月の再入院率と死亡率

結果>
平均年齢87.3歳、女性56.5%
入院期間は中央値8日。介入日数中央値は5日。
介入期間中に新たなイベントの発生は無かった。運動介入は、通常ケアよりも大きな効果が得られた。
退院時、運動群は通常ケア群よりもSPPBが2.2点向上しBathel Indexは6.9点改善していた。
入院は機能障害を引き起こし、通常ケア群で-5.0点の減少があり、運動介入によってこの傾向は回復した。
運動介入はまた、SPPBを改善した。認知機能においても、通常ケアよりも1.8点改善していた。

<考察>
運動介入は、安全であり、急性入院した超高齢患者の機能低下を回復する効果があることが示された。

・通常ケア:通常のケアを行い、必要に応じてリハビリ介入。
・介入群:1日2回(AM/PM)、1セッション20分を連続5-7日(週末含む)
運動メニューは”vivifrail”(http://www.vivifrail.com/)のプログラムを取り入れた。
・AMセッションの内容【監視下トレーニング】
抵抗運動(1RM30-60%を8-10回2-3セット。スクワットや起立、レッグプレスなど)
歩行、バランス練習(タンデム立位、継ぎ足歩行、バランスマットなど)

・PMセッションの内容【非監視下トレーニング】
抵抗運動(重錘など軽負荷での運動)
歩行:病棟廊下を使用

・185人ずつが解析対象。
平均年齢87歳、BMI26
疾患:高血圧、心不全、脂質異常症、変形性関節症、不整脈、COPD、慢性胃炎/逆流性疾患、慢性腎不全、尿失禁
MMSE23点、握力17kg

・Bathel Indx、SPPBともに介入群の方が優位に改善を認めた。
・MMSE、抑うつ、QOL、握力は、介入群の方が優位に改善。
・入院日数、入院中の転倒、3か月の再入院、死亡率、転機は有意差無し。

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運動介入は、身体機能やADLにポジティブな影響を与え、安全に実施された。