2018/10/23

COPD増悪入院患者に対する4日間のリハの効果

Efficacy of a respiratory rehabilitation exercise training package in hospitalized elderly patients with acute exacerbation of COPD: a randomized control trial

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015; 10: 1703–1709.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4555970/

<背景>
COPD急性増悪は、COPD症状の急激な悪化の特徴がある。これまでの研究では、COPD患者への呼吸リハの効果が検討されてきた:しかし、高齢患者の急性増悪に特化したトレーニングプログラムは無く、入院中の不安定な期間の検討は無い。

<目的>
COPD急性増悪で入院した患者に対して、息切れ、咳、運動耐容能、痰の喀出などのパッケージングされた呼吸リハの効果を評価すること

<方法>
RCT。61人の高齢COPD急性増悪患者がリハ前後の評価を実施(介入グループ30人、コントロールグループ31人)
介入グループは1日2回の運動、1セッション10-30分を4日間実施。
臨床パラメーター(息切れ、咳、運動耐容能、痰の喀出)は、ベースラインと4日目の終了時に評価。

<結果>
全参加者が介入期間をクリア。介入グループは、息切れ、咳は減少し、運動耐容能と痰の喀出はコントロールグループと比べて改善した。
グループ間比較では、息切れ、咳、運動耐容能は介入グループで著明に改善した。

<考察>
この結果から、運動をパッケージした呼吸リハは、COPD急性増悪で入院した高齢患者の症状を軽減させ、ケアの効果を高めた。

・患者選択基準
1)中等度の増悪(薬物の増量や医療的ケアの追加が必要)
2)65歳以上
3)意識レベルがクリア
4)心疾患、気胸、肺水腫による息切れが無い
5)気管支拡張剤の吸入もしくは抗菌薬治療を実施しているが、咳止めは治療していない

・除外基準
1)収縮期血圧≦90mmHg
2)SpO2≦90%
3)心理学的上体が不安定、喀血、気胸、肺水腫、呼吸器の使用

・コイントスで無作為にグループ分けした。
・介入グループは、4日間の運動療法を通常のケアと教育(バイタル測定、症状のモニタリング、栄養評価、禁煙教育、酸素療法)に追加して実施。
・コントロールグループは、通常ケアと教育のみを提供。

・初期評価をベースラインとして採用。最終セッションの後1時間以内に最終評価を実施。

・介入内容は6つの項目から構成。
1)疾患の気づき:専門医が患者と家族にCOPD増悪について胸写を用いて説明。同時に呼吸器の解剖についても説明
2)排痰:体位ドレナージのカードを患者と家族に渡して、できる限り痰の除去できるように病院のベッドで行うようにした。
3)口すぼめ呼吸練習:吸気と呼気の比率を1:2で実施。1セッション10分を少なくとも1日2回実施。
4)上肢運動と深呼吸:タオルを使って上肢挙上と同時に吸気を行い、呼気時に上肢を下ろす。胸郭の拡張に加えて、この運動は、呼吸筋力向上や簡単な排痰に関与。
5)歩行練習:廊下を行ったり来たり歩行。最低1回10分、1日2回。呼吸リズムと同調して行った。
6)呼吸リハプログラムコーディネーターの担当:患者の栄養管理や健康教育を担当(疾患教育、禁煙、薬物療法、排痰テクニックなど)


・4日間の介入は息切れ、咳の症状を軽減し、運動耐容能を向上させた。