2018/09/29

COPD患者における疼痛とその予測因子

Differences in subjective and objective respiratory parameters in patients with chronic obstructive pulmonary disease with and without pain

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2012; 7: 137–143.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22419861

<背景>
いくつかの研究で、COPDにおいて、呼吸のパラメーターと疼痛の関係が評価されている。この研究の目的は、COPD患者で疼痛の有無による呼吸パラメーターの違いを明らかにすること。

<方法>
横断的にスパイロメトリーとSGRQを評価。
患者は、疼痛によって悩まされているかという一つの質問に対して答えた。

<結果>
100人の患者が対象。45%が全般的な疼痛に悩まされていると回答。疼痛があると答えた患者は、併存疾患の数が多く、息切れスコアが高かった。
息切れの身体的側面は、疼痛と著明に関係していた(p<0.03)。ロジスティック回帰分析の結果、併存症の数(OR = 0.28)と息切れのスコアが高い事(OR = 1.03)が疼痛グループであることを予測数唯一の予測因子であった。

<考察>
併存症と呼吸困難感は、疼痛や息切れのリスクファクターであり、これらは疼痛と関連していた。

・終末期COPDにおいて、息切れの罹患率は95-98%、疼痛は68-72%と言われている
・対象は、35歳以上でCOPDと診断されている患者。長期酸素療法や不安定な心疾患がある患者は除外。

・息切れはSGRQで評価。
・疼痛は、「あなたは全体的に疼痛に悩まされていますか」の質問の回答で疼痛ありとなしに分けられた。

疼痛の有無で息切れの程度を比較。項目の上から
※咳で悩まされる
※咳は疲れさせる
会話中に息切れがある
かがんだときに息切れがする
※咳や息切れが睡眠の邪魔をする
※簡単に疲れやすい
※=有意差あり
疼痛を感じている患者は、咳で悩まされたり、疲労感を感じており、呼吸症状が睡眠の妨げになっており、簡単に疲れやすいと感じている。

・疼痛のリスクファクターは併存症の数とSGRQの息切れの項目。

【考察】
・息切れの増加による呼吸筋の疲労を疼痛と感じている可能性がある。
・息切れや息切れと疼痛には、呼吸筋疲労によるエネルギー消費の増大の結果として機械的なストレスがかかっている可能性がある。
年齢や性別など患者の背景に差は無かった。


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疼痛(不快な感覚)と息切れを知覚する脳の部位って近いんじゃなかったっけ。