Respiratory Medicine 141 (2018) 1–6
https://www.resmedjournal.com/article/S0954-6111(18)30204-X/abstract
<背景>
身体活動と運動耐容能はCOPD患者において減少している。自然経過において両方が同じような経過をたどるのか、片方が先に減少するのか現在のところ不明である。
この研究の目的は、COPD患者における運動耐容能と身体活動の経過の関係とこれらの変化を明らかにすること。
<方法>
縦断研究。外来もしくは入院している患者をリクルートし、毎年2つの運動耐容能試験(1分間椅子立ちテストと6分間歩行試験)と身体活動量(1日の歩数)の測定を1-7年間継続した。
単変量と多変量解析を実施し、これらのテストの毎年の変化を明らかにした。
<結果>
202人のCOPD患者が参加(症状と将来の増悪リスクのグレード分類で17%はA、49%はB、4%はC、34%はD)。
平均フォロー期間は2.4年(最短0.9年、最長6.8年)
1日の歩数は、全体を通して減少していたが、椅子立ちテストと6MWTは維持されていた。
<考察>
今回の研究機関において、COPD患者は、運動耐容能は維持されていたが身体活動量は徐々に低下していた。
このように、身体活動の減少は運動耐容能の減少に付随して生じるものではないと思われる。
・スイスの7つのクリニックから軽症から最重症のCOPD患者が集められた
・追跡期間中に1回でも評価を行えた患者のデータを採用
・身体活動量の評価:3軸加速度計(sense wear pro)を使用。1年に1回、連続7日間装着。季節も分析に配慮した。
・202人のCOPD患者が少なくとも1回の評価を行った、
平均年齢64歳、%FEV1.0 45%、6MWD 431m、1分間椅子立ちテスト 21回、1日の歩数 4581歩
・歩数は、毎年451歩減少していた。更に、ベースラインで歩数が多かった患者で特に減少が大きかった
・低肺機能の患者では歩数の減少が大きい。
・身体活動量の身体活動量の減少とmMRC(息切れの程度)は関係なかった
上段は歩数 下段左は6MWD、右は椅子立ちテスト 歩数は年々減少しているが、運動耐容能は維持されていた。 |
生存で6MWDを比較すると、生存できなかった患者は年々減少していた(年間平均31m減)。 因みに、椅子立ちテストでは違いは見られなかった。 |
・COPDではまず身体活動が減少して、その後運動耐容能が低下するというのが、自然経過なのだろうと結論。どのくらい遅れて運動耐容能が低下するのかまでは不明。