2018/08/18

握力は全身筋力の代わりとはならない

Handgrip Strength Cannot Be Assumed a Proxy for Overall Muscle Strength.

J Am Med Dir Assoc. 2018 Aug;19(8):703-709.

https://www.jamda.com/article/S1525-8610(18)30236-6/fulltext

<目的>
ダイナぺニア、筋力低下は、健康状態のネガティブなアウトカムを予測し、握力でよく表される。
握力が全身の筋力の代わりとなり得るか、年齢や健康状態に依存するかについては、議論が分かれる。
この研究では、握力と膝伸展筋力の関連を年齢や健康状態が異なる対象者で評価することを目的とした。

<対象者>
地域住民、外来患者、病院で行われ、5つのコホートに登録している患者。健常若年者、健常高齢者、高齢外来患者、股関節骨折後の高齢者が含まれる。

<評価>
握力と膝伸展筋力をそれぞれのコホートで測定。ピアソンの相関係数で握力と膝伸展筋力の関係を性別で分けて調べた。
握力と膝伸展筋力は性別特異的zスコアによって標準化された。
標準化された握力と膝伸展筋力の関係は、全体と個人で級内相関係数(ICC)とブランドアルトマンプロットで検証した。

<結果>
ピアソンの相関係数では、健常若年者(男性: 0.36 to 0.45, 女性: 0.45)、健常高齢者 (男性: 0.35 to 0.37, 女性: 0.44)では低い相関で、高齢外来患者(男女とも: 0.54)と高齢股関節骨折患者(男性: 0.44,女性: 0.57)では中等度の相関があった。
ICCは、全対象者で低いもしくは中等度の関連であった。

<考察>
握力と膝伸展筋力は、年齢と健康状態とは独立して低度から中等度の相関を示した。握力のみを、全身の筋力の代わりとするべきではない。


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全身筋力と関連があるなら、膝伸展筋力とも関連があるはずだ!という仮説から始まったのだろうか。
握力は全身筋力を反映すると言い出した人はどのデータを使っているのか気になる。