2018/04/20

脳梗塞後の脳神経由来伝達因子(BDNF)と機能的予後

Low Circulating Acute Brain-Derived Neurotrophic Factor Levels Are Associated With Poor Long-Term Functional Outcome After Ischemic Stroke.

Stroke. 2016 Jul;47(7):1943-5.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27301948

<背景>
脳神経由来伝達因子(Brain-derived neurotrophic factor ;BDNF)は、動物の脳卒中モデルにおいて、脳の可塑性、修復に関して重要な役割がある。BDNFの循環濃度は、外傷性脳損傷患者において少なく、BDNF濃度が低いと損傷後の回復が悪いと予測される。
BDNF循環濃度が、虚血性脳卒中(脳梗塞)の急性期において変化するのかと、短期間と長期間のアウトカムと関連しているかを調べた。

<方法>
血清BDNF濃度は、the Sahlgrenska Academy Studyで測定された。主なアウトカムは modified Rankin Scale(mRS)で良い(mRS0-2)vs悪い(mRS3-6)を、脳卒中の3ヵ月後と2年後に比較し、7年後に良い(mRS0-2)と悪い(mRS3-5)で比較した。

<結果>
急性期のBDNF濃度は健常者と比べて著明に低かった。BDNF濃度は3か月後のアウトカムには関係していなかった。しかし、BDNF濃度が最も低い群は、2年後と7年後に悪いアウトカムとなっているリスクが増加しており、これらは、心血管リスク因子(OR2.6)と脳卒中重症度(OR2.1)と独立して関連していた。

<考察>
脳卒中患者の急性期におけるBDNF濃度は低かった。これは、長期間のアウトカムの悪化と関連していた。
今後の研究で、これらの関連を確かめることと、脳卒中アウトカムにおけるBDNF濃度の予測を検討することが必要である。


・BDNFとは:脳梗塞の動物モデルにおいて、脳梗塞後の宇脳機能の回復を向上させ、ニューロン形成の役割を持つ物質。急性期のBDNFは、脳損傷の重症度やアウトカムを予測し、不完全な回復となるオッズが最も高い。
・対象は18-69歳の脳卒中患者514人。発症3か月後、2年後、7年後にBDNFを測定。
・機能的アウトカムはmodified Rankn Scale.