Chest. 2018 Feb;153(2):321-328.
http://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(17)31243-6/fulltext
<背景>
長期間の吸入ステロイド薬(ICS)はCOPD治療で広く使われているが、骨折のリスクの増加、特に閉経後の女性において、影響があるのかについて明らかになっていない。
<方法>
The Quebec health-care databasesを用いて、1990年から2005年のCOPD患者コホートのデータを使用し、2007年までに股関節もしくは上肢の骨折があったかを調査した。
a nested case-control analysisにおいて、それぞれの骨折のケースとマッチした20人のコントロール患者の年齢、性別、追跡期間を比較。
ICS使用患者の骨折の調整された危険率(Risk Ratio;RR)はロジスティック回帰分析を用いて算出された。
<結果>
240110人のコホート患者が対象となり、19396人が平均5.3年の間に骨折を経験していた。ICSの使用は骨折リスクの増大と関係していなかった (RR, 1.00; 95% CI, 0.97-1.03)。
骨折率は、ICS使用開始してから4年以上経過し、1日1000μg以上のフルチカゾンを使用していると増加した。
男女でリスクに違いは無かった。
<考察>
長期間、高容量のICS使用は股関節は上肢の骨折リスクの増加と中等度関連していた。
女性において、リスクが増大しているということは無かった。
・平均年齢74歳、女性が72%
・フルチカゾンが含まれるICS吸入薬:
フルタイド(フルチカゾン)
アドエア(フルチカゾン+サルメテロール)
フルティフォーム(フルチカゾン+ホルモテロール)
レルベア(フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール)
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高容量吸入が必要なくらい重症で、活動量も低下していることで、転倒リスク(≒骨折)は高まりそう。
ICSが直接的に関与しているのか?罹患期間が長期間になり年齢的な骨折のリスクが増大しているのか?
同年代の健常者と比較したらどうなるだろうか。