2018/03/06

身体活動の量と種類と死亡リスクの関係

Associations of total and type-specific physical activity with mortality in chronic obstructive pulmonary disease: a population-based cohort study.

BMC Public Health. 2018 Feb 17;18(1):268.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5816365/

<背景>
通常の身体活動は、COPD患者すべてに推奨されているが、生存率への有効な効果が得られる身体活動の量については知られていない。この研究の目的は、身体活動の合計、種類と死亡リスクについての関係を明らかにすること。

<方法>
40歳以上のCOPD患者で、イングランドとスコットランドの健康調査コホートに参加している患者。
自己報告で中等度以上の身体活動(MVPA)の合計、ウォーキング、家庭内での身体活動、スポーツや運動について聴取。Coxハザードモデルで身体活動と死亡リスクの関係について検討。

<結果>
2398人のCOPD患者が参加。身体活動の合計とMVPAは、全原因による死亡リスクと心血管イベントによる死亡リスクと関連しており、呼吸器による死亡リスクはより低かった。
身体活動をしていないと報告した患者と比較すると、身体活動のガイドラインによって活動した患者は全原因、CVD、呼吸器による死亡リスクが軽減していた。
ガイドラインで推奨されている身体活動の半分の身体活動レベルであった患者もまた、全原因、CVDによる死亡リスクが減少していた。
死亡リスクと関連していたものは、ウォーキングとスポーツや運動で、家庭内の身体活動ではなかった。

<考察>
身体活動と全死亡リスク、CVD死亡リスクが関連していることが明らかになり、推奨されている一般的な身体活動よりも低いレベルで効果が表れていた。
COPD患者では、ウォーキングや構築された運動などのより低い身体活動のレベルで効果が得られるかもしれない。

・身体活動の評価:The Physical Activity and Sedentary Behaviour Assessment Questionnaire (PASBAQ)で評価。加速度計のデータと比較して妥当性が確認されている評価表。
過去4週間の活動頻度や量について4項目の質問。
1)家庭内の活動、2)手作業(ガーデニングやDIY)、3)軽度から中等度の強度のウォーキング、4)スポーツや運動。スポーツや運動の強度は、METs表で換算。

・身体活動の合計とMVPAは4つに分類。
不活動:0 MET-hours/week of total PA, 0 min/week of MVPA
不十分な活動(低い):< 3.75 MET-hours/week of total PA, < 75 min/week of MPA or equivalent combination of MVPA
不十分な活動(高い):3.75 to < 7.5 MET-hours/week of total PA, 75 to < 150 min/week of MPA or equivalent combination of MVPA
十分な活動:≥7.5 MET-hours/week of PA, ≥150 min/week of MPA or equivalent combination of MVPA

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身体活動の合計と全原因死亡リスク
活動量が増大するほど死亡リスクは減少
低いに分類される活動量でも改善している。

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中等度強度の活動と全原因死亡率

・身体活動が高いに分類されると、全死亡原因、CVDリスクが減少。身体活動の合計が低いに分類されている患者でも同様の結果が得られた。
・ウォーキングは全死亡原因、CVDリスク、呼吸器死亡リスクを減少。低い強度のウォーキングでは著明な死亡リスクの減少は得られていなかった。
・家庭内身体活動レベルは死亡リスクを減少しなかった。