2017/11/14

COPDで胸部痛を訴える患者の割合と症状の関係

Prevalence of thoracic pain in patients with chronic obstructive pulmonary disease and relationship with patient characteristics: a cross-sectional observational study

BMC Pulmonary Medicine (2016) 16:47

https://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12890-016-0210-8

<背景>
目的は、COPD患者で胸部痛を訴える患者の割合を調査し、1秒量や安静時肺過膨張、息切れ、運動耐容能、疾患特異的健康状態、不安、抑うつとの関係を検討すること。

<方法>
横断的研究。呼吸リハを行っている患者を採用。肺機能、プレチスモグラフィー、拡散能を評価。疼痛は、多面的な評価表を用いて行い、インタビューで行われた。加えて、mMRC、6MWT、CAT、HADSも評価。

<結果>
67人中55人が慢性痛を訴えた(82.1%)。53.7%は胸部痛を訴えた。より若く、CATが悪い患者は、胸部痛の存在と関係していた。胸部痛とFEV1、安静時肺過膨張、拡散能、mMRC、6MWD、不安、抑うつとは関係なかった。

<考察>
胸部痛はCOPD患者で多く存在しており、疾患特異的な健康状態と関係していた。しかし、肺機能、肺過膨張、息切れ、運動耐容能とは関係していなかった。


・オランダのCIROで呼吸リハを行っているCOPD患者67例を対象としてスタディ
・プレチスモグラフィーは、機能的残気量(FRC)、残気量(RV)、全肺気量(TLC)を測定
・疼痛は、the McGill Pain Questionnaireや the Brief Pain Inventoryの項目を含んだ、インタビューを構成
疼痛の場所を図に示してもらい、重症度や痛みの特徴、治療を聴取する。

・平均年齢64.9歳
・全体の82.1%に疼痛あり。胸部痛は53.7%で、そのうち胸部痛のみは75.0%。そのた共通していたのは、頚部、肩甲骨、腰部。

・胸部痛のある患者は若い(62歳vs68.2歳)、CATが高い(25.4点vs21.0点)、抑うつが高い(9.1点vs6.8点)。併存症は関係なし。
肺機能と疼痛の程度(NRS)は相関していない。

・疼痛とQOLの関係は、これまでも報告されており、疼痛が原因で自宅やベッドから動けないことが要因と考えられる
・若い患者で胸部痛が多かったのは、高齢になると、疼痛の感覚を感じにくくなったり、症状が生じるほど活動していない可能性が考えられた
・安静時肺過膨張は関係なかったので、COPDと胸部痛の機序は未だ不明である
・疼痛の治療は、痛み止めを39%が服用していた。呼吸リハで息切れが軽減し、身体機能が改善、同様に疼痛も軽減する可能性があるとClarkらは報告している

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併存症が関係なく、COPDの特徴的な所見(肺過膨張)も関係なかったと。
これだけだと、息切れの症状や精神状態の影響ともとらえられるが、頚部や肩甲帯は呼吸補助筋の影響か。