2017/09/03

歩行とエルゴメーターでのSpO2変化の違い

Kinetics of Changes in Oxyhemoglobin Saturation During Walking and Cycling Tests in COPD

Respir Care 2014;59(3):353–362.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23942752

<背景>
6MWTとサイクリングテストのSpO2の変化のパターンや生理学についてはCOPD患者において明確にされていない。

<方法>
60人のCOPD患者を対象に調査。SpO2の変化(⊿SpO2)を2つのテストで比較。低酸素の患者と低酸素にならなかった患者を比較。

<結果>
 6MWTにおいて、SpO2低下に4パターンあった。低酸素になり再度回復する(46%)。1.2分で3%以上低下し、3.4分で最低になり、徐々に回復する。開始時と最低値の差が、開始時と終了時の差よりも大きい(p<.001)。
 低酸素があった患者は、吸気筋力が弱く、息切れが強く、6MWDが短い。回復した患者は、FEV1.0%が高く、機能的残気量が少ない(p<.05)。
 サイクリングテストのSpO2低下は3パターン。低酸素化したのは57%。SpO2が3%以上低下し最低SpO2に4,6分と6,6分と6.8分で到達。低酸素になった患者は、BMIが低い、 oxygen-cost diagram score(息切れの程度)が低い、運動後の吸気筋力が小さい、拡散能が低下、SpO2が低い、6MWT中の仕事量が少ない、最大運動能力が低い(全てp<.05)。
 両方のテストで、開始時と最低のSpO2の差は6MWTで大きかったが、開始時と終了時のSpO2の差は似ていた。両方のテストで低酸素になった患者は、oxygen-cost-diagram scoresが低く、最大運動能力が低かった。

<結論>
6MWTの開始時と最低のSpO2の差を評価することが推奨された。6MWTと自転車テストにおいて、低酸素は oxygen-costdiagram scoreで予測可能となり、6MWTよりも最大運動能力が予測できる。

・台湾病院で行われた研究
・対象者には6MWTと症候限界運動負荷試験を実施
・6MWT中はパルスオキシメーターでSpO2を記録し、2人の検査者で低下を判断(3%以上の低下をSpO2の低下と定義)
・運動負荷試験は、ランプ負荷法で1分あたり5-20wattずつ増加。

・Oxygen-Cost Diagram:長さ100mmの直線とその横に日常生活動作を記載。患者自身にチェックしてもらい、ADL動作の酸素必要量を評価しより厳密にかつ簡単に評価できるもの。評価は、ゼロからの距離を点数とする。
Oxygen-Cost Diagram
出典:
健常高齢者の呼吸困難感の評価におけるOxygen Cost Diagram の有用性に関する臨床的研究


・6MWTで低酸素なし17人、低酸素あり40人
A:6MWTのSpO2変化
B:6MWT中のSpO2低下の有無で比較。矢印は3%低下のポイントを指している。
A:6MWTで開始後3分以降にSpO2が低下した患者3人
B:開始後すぐにSpO2低下したが、徐々に回復した患者26人
C:spO2が低下し続けた患者11人


・エルゴで低酸素なし18人、低酸素あり27人
エルゴでのSpO2変化。矢印は3%低下のポイントを指す。

・両方で低酸素なし7人、両方で低酸素あり23人、どちらかでのみ低酸素あり17人
有意差があったのは、Oxygen-Cost Diagramスコア、エルゴでの最大酸素摂取量、最大1回換気量。

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歩行と自転車でSpO2の変化が異なる患者がいるという結果。運動療法の様式を選択する際に参考になるのでは。
負荷試験なら、シャトルウォーキングテストとの比較の方が良さそうだが。。
換気能力と呼吸筋力が関係しているのかも。