2017/09/11

運動療法で自律神経系の活動が改善

Aerobic exercise training improves autonomic nervous control in patients with COPD

Respiratory Medicine (2009) 103, 1503e1510

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19464865

<目的>
自律神経調整は、COPD患者に影響している。目的は、6週間の有酸素運動が、COPD患者の心拍数の自律神経調整に効果的かを検討すること。

<方法>
40人の中等症から重症のCOPD患者を、無作為にトレーニンググループ(20人)とコントロールグループ(20人)に分けた。運動療法の内容は、上下肢のストレッチ、トレッドミル歩行30分を週3回、6週間実施。身体的データは症状限界運動テストと6MWTで評価。加えて、R-R間隔を安静時と6MWT中に測定。心拍数の変動は、時間(rMSSD and SDNN index)と頻度(高周波、低周波、高周波/低周波 比)で評価。

<結果>
最大酸素摂取量はトレーニンググループでのみ著明に改善(p<0.05)。更に、トレーニンググループは、血糖値、分時拍出量、最大運動時の息切れ、交感神経作用、安静時と準最大運動時の副交感神経作用が著明に改善。6MWDの変化とrMMSD indexは高い相関関係を示した(r=0.65 and p=0.001)

<考察>
心拍数の神経支配、加えて、その他の臨床的変数は、6週間の有酸素運動で有意に変化した。運動療法後に運動パフォーマンスが向上したことは、副交感神経活動と関連していた。


心拍数の変動の測定
SDNN:通常のRR間隔の標準偏差
rMSSD:連続して隣接するRR間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、迷走神経緊張強度の指標
高周波:副交感神経(迷走神経)の活動を反映
低周波:(血管運動性)交感神経と副交感神経の両方の活動を反映
高周波/低周波 比:交感神経と副交感神経の全体のバランスを表す。数値が高いと交感神経優位を、低い場合は副交感神経優位を示す。
(参考ページ:http://www.trytech.co.jp/checkmyheart/glossary.html

運動療法グループは、歩行距離の延長と副交感神経作用の優位が相関していた。


運動療法グループ(グレー)は、コントロールグループ(黒)と比べて、安静時も運動時も副交感神経が優位に作用していた。
・安静時と動作時の交感神経作用が減少した要因の1つに骨格筋の影響を指摘。呼吸活動が増大すると、交感神経作用が優位になるが、トレーニングによってこの作用が抑制されたのではないか。

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運動療法を行うと、運動時の心拍数の上昇が抑えられるかも。心疾患を合併している場合は、例外かもしれないけど。