2017/08/13

ICUで集中的にリハ介入することは健康関連QOLを改善するか

Intensive versus standard physical rehabilitation therapy in the critically ill (EPICC): a multicentre, parallel-group, randomised controlled trial

Thorax. 2017 Aug 5

http://thorax.bmj.com/content/early/2017/08/05/thoraxjnl-2016-209858.info

<背景>
ICUにおける早期リハビリは短期間の効果は示されている。しかし長期間の効果とリハビリの強度については検討されていない。

<方法>
無作為化2グループ検者盲検対照比較試験。最低48時間の侵襲的もしくは非侵襲的換気を行っている患者を対象。参加者は無作為に(1:1)ICU入室、入院種類、自立度で分類。介入グループは、1日90分の介入を目標にリハビリを実施。コントロールグループは1日30分の介入を目標に実施。両グループとも月曜から金曜まで。
プライマリーアウトカムは6か月後のSF-36の身体的要素(PCS)

<結果>
34ヶ月にわたって308人の患者をリクルート。150人が介入グループ、158人がコントロールグループ。介入グループのリハ介入時間は中央値161分、コントロールグループは86分。
6か月後、62人の介入グループ、54人のコントロールグループでプライマリーアウトカムのデータを比較。介入グループは、43人が死亡、11人がドロップアウト、34人が追跡不可。kコントロールグループでは56人が死亡、5人がドロップアウト、43人が追跡不可。
6か月後のプライマリーアウトカムは差はなかった。(37点vs37点)

<結論>
この研究では、ICUでのリハビリテーションは、標準的なリハビリテーションと比較して、6カ月後の身体的なアウトカムの向上をもたらさなかった。


・リハは、RASS-1,0,+1で介入。
・介入グループは、月曜から金曜、1日90分のリハを実施、最低2セッションに分けて実施。
・コントロール(標準ケア)グループは、月曜から金曜、1日30分の介入。
・身体機能評価は上下肢筋力、最大活動レベル(支持なしで座れない、支持ありで座れる、椅子に安全に座れる、支持ありでトランスファー可能、自立して活動できる)
・ICU退室後、両グループとも標準的な地域での理学療法と運動日誌を病院から退院してからも継続

・理学療法の介入内容は、両グループでほぼ同じ内容。介入グループでは歩行のセッション割合が多かった
・下肢筋力は、介入グループでOxford scale4、5が多かった。(Oxford scale:MMTのような筋力評価。0-5点で評価。)
リハの内容の内訳。介入グループは歩行の割合がセッションの30%以上を占めていた。

身体活動レベルは3が最も多い。

生存率。介入した方が、若干生存率は良いが、有意差まではない。


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SF-36(健康関連QOL)という視点では、この介入方法は効果的ではなかった。90分といえば、リハの単位でいうと約4単位に相当。30分という事は、1日2単位分介入できればいいということか。
急性期では状態や疾患のばらつきがありそうなので、一概に時間ではくくれないような気もする。