2017/08/18

肥満COPD患者の減量プログラムの効果

Should we treat obesity in COPD? The effects of diet and resistance exercise training

2016 Jul;21(5):875-82.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26916174

<背景>
肥満は健康アウトカムが低下するリスクファクターであると推定されているが、COPDにおいては矛盾しており、生存率や肺機能の改善と関連している。肥満COPD患者の推奨されている治療法とは大きな差が存在する。目的は、低カロリーの食事と部分的に置き換える方法と抵抗運動を組みあわせた減量プランの効果を検討すること。


<方法>
肥満COPD患者(BMI>30)の患者を対象に、12週間の減量プログラム(食事置き換え、専門家によるダイエットカウンセリング、PTによる抵抗運動)を実施。患者は、専門家とPTと面談を行い、2週間ごとにカウンセリングを実施。

<結果>
28人の参加者が介入を完了した。ベースラインの平均BMIは36.3で、介入後BMIが2.4減少。骨格筋量は維持していた。臨床的なアウトカムでは、運動耐容能、健康状態、息切れ、筋力などが改善した。また、BMIやBODEスコアは減少した。全身炎症のCRPの値は変化していなかった。

<結論>
肥満COPD患者において、食事療法と運動を組み合わせた結果、BMIや運動耐容能などの臨床的な改善が認められた。この結果は、肥満COPD患者の管理ガイドラインの枠組みを示すことができ、さらなる検討が必要。


・オーストラリアの病院でBMI30以上の安定期COPD患者をリクルート
・1週間おきに病院にて介入を行い(3ヶ月で7回以上)、間の1週間は電話でフォローアップした

・ダイエットプログラム:BMI40以上の患者に対して、3850-5000KJ/dayもしくは5900KJ/dayの低カロリー食を提供。
1日2回の食事内容を置き換えて提供。BMI40以上の患者には1日3食を置き換えて提供。減量中に飢餓を最小限に抑えて筋力低下が認められた場合、エネルギー補給を実施。
それぞれの置き換えた食事は870KJで、炭水化物45%、タンパク質40%、脂質20%
・プログラム全体を通して、参加者へは専門家による栄養のある食品の選び方について講義をした。筋力減少を最小限にとどめられるように体重1Kgあたり1.2-1.5gのたんぱく質摂取を実施。

・運動内容:自宅にて週3回の上下肢筋トレ(肘屈曲、壁に向かって腕立て、スクワット、段昇降、起立運動)を実施。理学療法士が運動プログラムを考案。
・負荷は10-12RM。運動日誌に、実施内容と息切れの程度を記録し、息切れのBorg5までで行うようにした

・50人が参加し、最後まで完了したのは28人。
・年齢67.6歳、BMI36.1、%FEV1.0 61.6%
・介入前後の体組成比較
 体重99.3kg→92.9kg(p<0.0001)
 骨格筋量29.9kg→29.6kg
 体脂肪率45.5%→42.8%(p<0.0001)
 脂肪量44.7kg→40.1kg(p<0.0001)

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1Kcal=約4.2KJ
つまり、今回の食事カロリーは916-1190Kcalということになる。
単に摂取カロリーを減らすだけじゃなくて、タンパク質の補給を行うことが筋肉量の保持につながったか。