2017/08/06

認知機能障害の有無で臨床的パラメーターに差は無い

Cognitive impairment and clinical characteristics in patients with chronic obstructive pulmonary disease

Chron Respir Dis. 2017 Jan 1

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28553720

<背景>
目的は、1)認知機能障害と疾患重症度の関連を調べる、2)運動能力、日常生活、健康状態、心理的状態を認知機能障害の有無で比較。

<対象>
安定期COPD患者で呼吸リハ、神経学的検査を行っている患者を対象。身体機能(6MWT、日常生活(カナダの作業パフォーマンス指標:COPM)健康状態(CAT、COPD特異的SGRQ)、心理的状態(HADS、BDI、SCL-90)。これらの評価を認知機能障害の有無で比較。

<結果>
183人のCOPD患者が対象(平均年齢63.6歳、平均%FEV1.0 54.8%)。76人(41.5%)が認知機能障害を有していた。重症度別の有病率は、GOLDのgrade別でみると、1:44.8%、2:40.0%、3:41.0%、4:43.5%、group別に見ると、A:50.0%、B:44.7%、C:33.3%、D:40.2%。
認知機能障害の有無は、患者背景、喫煙歴、%FEV1.0、mMRC、6MWT、COPM, CAT, HADS, BDI, SCL-90で同等であった。

<結論>
認知機能障害の有無によるCOPD患者の臨床的特性は同等であった。COPDの認知機能障害のを評価することで、患者個別のアプローチが求められる。

・CIROという臨床調査に参加している安定期COPD患者が対象。除外基準は、過去4週間以内の増悪、オランダ語が話せない、認知症の診断
・認知機能障害のテスト項目:肺疾患患者の認知機能研究(the Cognitive-PD study)のプロトコルを参考に実施。(IQの測定の様な感じ?)


患者特性。認知機能以外は有意差がない項目がほとんど。


GOLDのgrade別の認知機能障害の有病率
上から時計回りに、精神運動速度、計画、作業記憶(ワーキングメモリー)、言語記憶、認識の柔軟性
軽症では柔軟な認識が出来ていない、重症になると言語の記憶や計画が障害されている。

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重症度に関係なく、認知機能障害をもつ患者は一定数いるということ。日本では、高齢で発見されれることが多いので、認知機能の評価は必要だが、MMSEや長谷川式では検出されない認知機能障害があることが多い印象。
患者教育をうまく行うためにはIQの評価があると便利かも。評価方法や解釈が難しそうだが。