2017/06/11

COPDにおける肺高血圧のスクリーニングとして6MWTは有用か?

Usefulness of the 6-minute walk test as a screening test for pulmonary arterial enlargement in COPD

International Journal of COPD 2016:11 2869–2875

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27920514

<目的>
肺高血圧と運動誘発性低酸素血症(EID)は、COPD急性増悪を増加させる。CT画像による肺動脈(PA)の拡大はCOPD急性増悪と独立して関連していた。PAと大動脈(A)の比(PA:A)とEIDの関係については明らかになっていない。PA:A比はEIDと6MWTの結果と挿管しており、PA:A>1のリスクと関連しているのではないかと仮説をたてた。

<方法>
後方視的にCOPD患者64人のデータを収集。肺機能、6MWT、CTで気腫性変化の範囲とPAの大きさ。
PA:A比で≦1と>1のグループに分けた。ROC曲線でPA:A>1となる患者のカットオフ値を算出した。

<結果>
PA:A>1のグループは、1秒量(FEV1)、FVC、FEV1%、DLCO、6MWD、ベースラインのSpO2、最低SpO2、Borg scale、低吸収域の割合、過去1年間のCOPD増悪歴、BODE index、が低い。
PA:A>1を予測するのは6MWT中のSpO2(カットオフ値89%、AUC0.94)。

<結論>
6MWT中の最低SpO2は、CTで読影したPA:Aを予測しているかもしれず、6MWT中の最低SpO2が89%未満であることは、COPDの肺高血圧の発見に優れている。


・対象は、2014年から2015年に神戸市立医療センター西市民病院で標準的なCOPD治療を行っている外来患者、64名。
・評価は、身長、体重、肺機能、既往歴、mMRC、6MWT
・運動誘発性低酸素の定義は、最低SpO2<90%、SpO2≦88%かつ⊿SpO2≧4%

・PA:Aの測定:肺動脈と大動脈の直径は、分岐部の高さで測定。

・平均年齢73歳、
・PA:A>1は29人、PA:A≦1は35人。
・PAの直径は、PA:A>1で平均2.9cm、PA:A>1では平均3.7cmで、有意差あり(p=0.002)

・Aの直径は、PA:A>1で平均3.7cm、PA:A>1では平均3.5cmで、有意差なし(p=0.2)

・2群間で有意差があったのは、FEV1.0、FVC、FEV1.0%、BODE index、6MWD、ベースラインSpO2、最低SpO2、低吸収域(LAA)

・ROC曲線でPA:A>1を予測するカットオフ