2017/06/02

COPDにおける肺動脈の直径(肺高血圧の合併)

Pulmonary artery size as a predictor of pulmonary hypertension and outcomes inpatients with chronic obstructive pulmonary disease

Respir Med. 2014 Nov;108(11):1626-32.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25225149

<背景>
COPD患者において、肺高血圧症の肺動脈のサイズと死亡率の関係があるはずである。今回は、重症COPDのコホート患者における関係を調査した。

<方法>
後方視的に1998年から2012年の患者を調査。胸部CT画像と右心カテーテルの結果を収集。肺動脈と上行大動脈の直径は、独立した検査者が肺動脈圧と比較して評価した。死亡率の期間は、それぞれの患者の24ヵ月ごとに評価。Coxハザードモデルで、生存への独立した影響を算出。

<結果>
65人が対象で、そのうち38人(58%)が肺高血圧だった。肺高血圧の有無による肺動脈直径は、34.4mm vs 29.1mmだった(p=0.0003)。平均PA:A(肺動脈直径:上行大動脈直径)比
は肺高血圧有無によって、1.05 vs 0.87(p=0.0003)。
PA:A比はPA:A>1の患者における生存率を低下させる独立した予測因子であった。

<結論>
PA:A比は肺高血圧のあるCOPD患者において関連があり、死亡の独立した予測因子であった。この結果から、COPD患者で肺高血圧のスクリーニングを非侵襲的に行うことができ、独立した予後の情報として重要なことを示している。


・先行研究で言われていること:肺動脈の直径と肺高血圧の関係、肺動脈のサイズとCOPD増悪との関係、CT画像の肺動脈のサイズと右心カテーテルでの肺動脈圧の関係

・肺動脈と上行大動脈の直径は、CTの画像から5人の専門家によって計測。
・平均肺動脈圧と収縮期肺動脈圧、拡張期肺動脈圧は右心カテーテルで測定。

・平均肺動脈圧が25mmHg以上と未満の2グループに分けられた。25mmHg以上のほうが、1秒率が有意に低下している。

生存率に関するROC曲線:肺動脈直径のAUCは0.78、PA:A>1のAUCは0.79


各パラメーターと生存率
・PA:A>1は、12か月後には半数が死亡、平均肺動脈圧≧25mmHgにおいても2年後には半数が死亡。1秒量単独では、生存率に大きな差は無い。

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安静時に右心カテーテル検査を用いて実測した肺動脈平均圧(mean PAP)が25mmHg以上の場合が肺高血圧と定義された。(成人健常者は13±4mmHg~20mmHg)
引用:肺高血圧症治療ガイドライン2012年。

肺動脈の直径は最大でも17mmは超えないらしい。
大動脈の直径の基準値は約30mm。