2017/04/23

人工呼吸器離脱後、再挿管率の比較:ネーザルハイフロー vs カニューラ


Effect of Postextubation High-Flow Nasal Cannula vs Conventional Oxygen Therapy on Reintubation in Low-Risk Patients

JAMA.2016;315(13):1354-1361 

 

<背景>
人工呼吸管理されている患者の研究では、抜管後の酸素化が、従来の酸素カニューラよりもネーザルハイフローのほうが改善することを示唆している。しかし、再挿管リスクについての決定的なデータは欠落している。 

<目的>
ネーザルハイフローが、再挿管リスクが低いとされる人工呼吸管理下の患者において、従来の酸素カニューラよりも再挿管を防ぐことに優れているかを研究すること。

<方法>
他施設共同無作為化試験を2012年9月から2014年10月までスペインの7つのICUにて実施対象患者は予定抜管で再挿管のリスクが低いとされた527人

再挿管のリスクが低い定義は、65歳以下APACHEⅡスコアが抜管の日に12以下、BMI30以下適切な分泌物の管理がされている、ウィーニングがシンプル併存症が0もしくは1つ心不全が無い中等度から重症のCOPD気道開通性の問題長期にわたる人工呼吸管理(7日間以上)

対象者は、抜管後24時間、無作為にハイフローか酸素カニューラに分けられた。

<アウトカム>
プライマリーアウトカムは72時間以内の再挿管(階二乗検定)

セカンダリーアウトカムは抜管後の呼吸不全呼吸器感染症敗血症多臓器不全ICU在室日数入院日数死亡率有害事象再挿管までの時間

<結果>
264人がハイフロー263人が酸素カニューラ72時間以内の再挿管は、ハイフローのほうが少なかった(13人 vs 32人)抜管後の呼吸不全はハイフローのほうが少なかった(22人 vs 38人)再挿管までの時間は有意差なし(19時間 vs 15時間)有害事象の報告は無かった

<結論>
再挿管リスクが少ないとされる抜管後の患者において、ハイフローの使用は、従来の酸素療法と比べて、72時間以内の再挿管リスクを減少させる。


・ウィーニングのプロトコル:ウィーニングの基準は、FiO2<0.4でP/F ratio>150mmHg呼気終末<8cmHgpH>7.35
全身状態として、循環動態が安定している、血管作用性の薬剤を使用していないもしくは低用量のドーパミンのみHR<140bpmHb>8g/dl体温<38.0鎮静していない、自発の咳がある

基準を満たしていれば、まず、T-チューブもしくは7cmH2Oのサポートを30-120分行い自発呼吸トライアルを実施

自発呼吸トライアルを完了したら、再度呼吸器と接続し、気道開通性、気道分泌物、上気道閉塞を評価。

・ネーザルハイフロー(Fisher & Paykel Healthcare)の設定:10L/minで開始患者が不快に感じないところまで5L/minずつ上昇SpO2>92%を目標にFiO2を調整24時間後ハイフローを止めて必要であれば酸素カニューラを装着
・従来の酸素療法の設定:カニューラか再呼吸しないフェイスマスクを使用SpO2>92%を目標に流量を調整 

患者特性

再挿管リスク
明らかに従来の酸素療法の方が高い
ハイフローの方は5%程度


抜管後12時間のFiO2は有意差ありだが、P/F ratioは有意差無し。
<考察>
・24時間で終了したのは、ICU退室前評価の標準的な時間であることと、医療機器の数が足りていなかったからしかし、ハイフローをどの程度の期間使用すると良いかは明らかにされていない。

・ハイフローは、酸素化を改善させ、低酸素による再挿管の割合が低かったことが明らかになった。また、ハイフローは呼吸仕事量や呼吸筋疲労を軽減する効果もあり、二次的に低酸素血症を防いでいる。

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ハイフローの方が、自発呼吸に左右されにくく、およそ一定の酸素濃度を供給できるのが最大のメリットかな。
呼吸仕事量や呼吸筋疲労ってどの程度効果があるんだろう。