2017/04/23

ICUでの標準的なリハビリテーションは在院日数を短縮する?


Standardized Rehabilitation and Hospital Length of Stay Among Patients With Acute Respiratory Failure

JAMA.2016;315(24):2694-2702



<背景>
ICUにおける身体的リハビリテーションは、急性呼吸不全患者のアウトカムを向上させるかもしれない。


<目的>
標準的なリハビリテーションと通常のICUケアを比較すること。

 
<方法>
アメリカ、ノースカロライナ州の単施設での無作為化試験。人工呼吸管理が必要で急性呼吸不全を呈した成人患者を対象(平均年齢58歳)無作為にリハグループ(150人)と通常ケア(150人)に分けた


<介入内容>
リハは、退院まで毎日実施。内容は、受動的ROM-ex理学療法漸増抵抗運動
通常ケアは、専門チームからオーダーされてから平日に理学療法を実施。

リハ実施期間は、ROM-ex8日間(514日)理学療法5日間(3-8日)抵抗運動3日間(1-5日)通常ケアの理学療法提供日数(中央値)は1日(0-8日)


 <アウトカム>
両グループとも検査者盲検。評価はICUと退院後2,4,6か月後に実施
プライマリーアウトカムは入院期間。
セカンダリーアウトカムは人口呼吸日数、ICU在室日数SPPBスコアSF-36FPIスコアMMSE、握力、筋力 


<結果>
入院期間(中央値)両グループとも10日人工呼吸期間、ICU在室日数は有意差なし6か月後の握力、筋力SF-36MMSEに有意差なし
リハグループにおいて、6か月後SPPBスコアSF-36の身体機能スコアFPIスコアは有意に高かった


<結論>
急性呼吸不全で入院した患者に対して、標準的なリハは、通常ケアと比べて、入院期間を減少させなかった。

 
・リハプログラムの詳細:リハチーム(PTICUナースナースアシスタント)によって、入院中に毎日3回実施。
ROM-exは上下肢の関節を5回ずつ受動的に動かす。
理学療法は、ベッド上動作、移乗トレーニング、バランストレーニング(座位立位)
抵抗運動は、セラバンド(チューブ)を用いて上下肢大関節の運動。

・意識レベルによって、運動内容を調整。意識レベルが低いときは、3ともROM-exのみ実施。

・通常ケアは、治療プロトコルにリハビリテーションは含まれていない。理学療法は平日のみ、オーダーがされてから実施。
 
入院日数。
まったくと言っていいほど同じ経過をたどっている。



セカンダリーアウトカムの表。
退院時は変わらないが、半年後には有意差のある項目がいくつかある。

ーーーーーーーーーーーーー
今回の介入内容は、運動強度としては、決して高くは無い内容だと思う。
通常ケアとの違いは、理学療法士が単独でしているかと、介入日数。毎日3回介入はやり過ぎな気もするが。

この結果からは、土日まで積極的に行うメリットは、すぐには表れないということが分かった。

しかし、1日の介入と比べて、入院日数に有意差が無いというのは、寂しい結果。