Standardized Rehabilitation and Hospital Length of Stay
Among Patients With Acute Respiratory Failure
JAMA.2016;315(24):2694-2702
<背景>
ICUにおける身体的リハビリテーションは、急性呼吸不全患者のアウトカムを向上させるかもしれない。
<目的>
標準的なリハビリテーションと通常のICUケアを比較すること。
<方法>
アメリカ、ノースカロライナ州の単施設での無作為化試験。人工呼吸管理が必要で急性呼吸不全を呈した成人患者を対象(平均年齢58歳)。無作為にリハグループ(150人)と通常ケア(150人)に分けた。
<介入内容>
リハは、退院まで毎日実施。内容は、受動的ROM-ex、理学療法、漸増抵抗運動。
通常ケアは、専門チームからオーダーされてから平日に理学療法を実施。
リハ実施期間は、ROM-ex8日間(5ー14日)、理学療法5日間(3-8日)、抵抗運動3日間(1-5日)。通常ケアの理学療法提供日数(中央値)は、1日(0-8日)。
<アウトカム>
両グループとも検査者盲検。評価はICUと退院後2,4,6か月後に実施。
プライマリーアウトカムは入院期間。
セカンダリーアウトカムは人口呼吸日数、ICU在室日数、SPPBスコア、SF-36、FPIスコア、MMSE、握力、筋力。
<結果>
入院期間(中央値)は両グループとも10日。人工呼吸期間、ICU在室日数は有意差なし。6か月後の握力、筋力、SF-36、MMSEに有意差なし。
リハグループにおいて、6か月後のSPPBスコア、SF-36の身体機能スコア、FPIスコアは有意に高かった。
<結論>
急性呼吸不全で入院した患者に対して、標準的なリハは、通常ケアと比べて、入院期間を減少させなかった。
・リハプログラムの詳細:リハチーム(PT、ICUナース、ナースアシスタント)によって、入院中に毎日3回実施。
ROM-exは、上下肢の関節を5回ずつ受動的に動かす。
理学療法は、ベッド上動作、移乗トレーニング、バランストレーニング(座位、立位)。
抵抗運動は、セラバンド(チューブ)を用いて、上下肢大関節の運動。
・意識レベルによって、運動内容を調整。意識レベルが低いときは、3回ともROM-exのみ実施。
・通常ケアは、治療プロトコルにリハビリテーションは含まれていない。理学療法は平日のみ、オーダーがされてから実施。
入院日数。
まったくと言っていいほど同じ経過をたどっている。
セカンダリーアウトカムの表。 退院時は変わらないが、半年後には有意差のある項目がいくつかある。 |
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今回の介入内容は、運動強度としては、決して高くは無い内容だと思う。
通常ケアとの違いは、理学療法士が単独でしているかと、介入日数。毎日3回介入はやり過ぎな気もするが。
この結果からは、土日まで積極的に行うメリットは、すぐには表れないということが分かった。
しかし、1日の介入と比べて、入院日数に有意差が無いというのは、寂しい結果。