2017/04/23

ステロイド長期服用と身体機能の関係

Effect of long-term treatment with corticosteroids on skeletal muscle strength,functional exercise capacity and health status in patients with interstitial lung disease.

Respirology (2016) 21, 1088–1093


<背景>
副腎皮質ステロイド(コルチコステロイド)は、間質性肺疾患(ILD)の治療に時折使用される慢性的なステロイドの服用は、骨格筋力低下を引き起こすしかし慢性的なステロイド治療が、さらなる骨格筋力の低下を招くかどうかは明らかになっていない。 

<目的>
ILD患者において、慢性的なステロイド服用が、骨格筋力、運動耐容能、ADL健康状態に影響及ぼすかについて検討すること。

<方法>
47人のILD患者と51人のMRCがマッチしたステロイド治療を行っていないILD患者が対象評価は等尺性大腿四頭筋力(QF)、握力(HF)肺機能6MWTADLSF-36 

<結果>
QFと握力はステロイド服用グループの方が有意に低かった6MWDADLSF-36は有意差無かった骨格筋力とステロイド服用の総量には逆相関(負の相関)が認められた多変量解析において、ステロイド服用の総量は握力の独立した予測因子であった。 

<結論>
慢性的なステロイド治療は、ILD患者の筋力低下に寄与する筋力低下は、ステロイド服用の総量と逆相関の関係にあった。


・ステロイド服用患者は、少なくとも1カ月間服用している。
・服用期間は、ステロイドを開始してからの期間。平均1日量は期間中の平均服用総量は、1日量×服用期間
ADL評価は、the Kats basic ADL scaleを使用

・平均年齢68歳前後間質性肺疾患の内訳は、IPF膠原血管病関連間質性肺炎過敏性肺炎、その他IIP
1日のステロイド服用量は平均20.4±16.0mg/day服用総量は8217.6±9106.5mg免疫抑制剤はステロイドグループで40.4%コントロールグループで7.8%の患者が服用


服用量と筋力(大腿四頭筋力と握力)
月間の服用量(c,d)よりも服用開始からの総服用量(a,b)の方が、強い相関がある。