Longitudinal changes in handgrip strength, hyperinflation, and 6-minute walk distance in patients with COPD and a control group
Chest. 2015 Oct;148(4):986-94.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25996450
背景
COPDにおいて、吸気予備能(IC/TLC)は減少しており、動的肺過膨張(DH)と運動耐容能の低下と関係している。上肢筋力である握力と6MWDの関連については明らかになっていない。IC/TLCは上下肢の能力(握力と6MWD)に影響しているのではないかと仮説を立てた。
方法
肺機能、握力、6MWDを27人のCOPD患者と12人の健常者に測定。COPDグループは、過膨張のレベルでIC/TLCが25%以上か未満かで2グループに分けた。
結果
COPD患者は健常者と比べて、肺機能、握力、6MWDは減少。COPD患者は、1年間のフォロー後、健常者と比べて、握力、IC/TLC、6MWDは統計的に有意に減少していた。過膨張の存在(IC/TLC<25%)は、握力と6MWDの減少と関係していた。IC/TLCの変化は、握力の変化と相関していた(r= 0.429, p < 0.05)。多変量解析にて、IC/TLCは握力と6MWDの独立した関連因子であった。
結語
握力と6MWDはCOPD患者において減少していた。特に肺過膨張は縦断的にみて健常者には見られなかった。これは、安静時過膨張が循環器機能と運動パフォーマンスの減少の役割に悪影響を及ぼすかもしれないことを示唆しているかもしれない。
・握力測定は、肘を90度屈曲位にて3回測定。その他評価は、6MWD、mMRC、BMI、肺機能、最大吸気/呼気筋力
・活動度の質問として、歩行やスポーツなど普段の運動はどの程度していますか?と質問。週に2回以上であれば活動的と判断。
・握力は動的肺過膨張があると低かった(ベースライン:41kg vs 24kg、1年後:35kg vs 21kg)
・IC/TLCと6MWDに高い相関があった(r = 0.586; p < 0.01)。IC/TLCと握力も同程度に強い相関だった (r = 0.767; p < 0.001)
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握力は結構いろんなものと関連しているので、良い指標になるんだなと再確認。動的肺過膨張をいかに抑えて動けるようになるかは、大きな課題。