Depression symptoms reduce physical activity in COPD patients: a prospective multicenter study
International Jurnal of COPD 2016:11 1287–1295
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4910613/
背景
COPD患者の身体活動における不安と抑うつの役割は議論になる。今回、COPD患者の身体活動への不安と抑うつ症状の影響を調査した。
方法
ヨーロッパの5つの国(ギリシャ、スコットランド、イングランド、ベルギー、オランダ)で不安と抑うつ(HADS)、身体活動(加速度計)、その他の特徴を220人のCOPDで調査。ベースラインと6カ月後、12か月後でフォローアップした。不安と抑うつの関係をベースラインと6カ月後(t)と6カ月後と12か月後の間(t+1)で回帰モデルを使用し比較した。
結果
平均年齢67歳、%FEV1.0 57%、ベースラインにおいて、不安と抑うつの推定有病率は10%と5%であった。交絡因子と過去の身体活動を補正した多変量モデルでHADSの抑うつスコアが上がると1日あたりの歩数が81歩減少。HADSの不安スコアと身体活動は関連が無かった。
結語
COPD患者において、抑うつ症状は6カ月後の身体活動の減少と関連していた。
・HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)とは、不安や抑うつを評価する質問表。不安と抑うつそれぞれ21点満点で、0-7点は正常、8-10点は疑い、11点以上は恐らく(probable)と判断する
・加速度計は、1日10時間、7日間装着。装着時間、1日の歩数、活動時間を収集
・その他の評価は、増悪の履歴、喫煙歴、呼吸困難、CAT、併存疾患、治療内容、BMI、徐脂肪体重、肺機能検査、6分間歩行距離
↑評価プロトコル
・220人が対象。男性68%、独居49%、現喫煙者17%、mMRC中央値2、GOLDのステージ分類ではⅡが46%、Ⅲが31%。6MWDは平均423m、CAT14点、不安スコアで11点以上は10%、抑うつスコアが11点以上は5%
・加速度計の平均装着時間は1日880分、平均歩数は1日4812歩、平均活動時間は1日60分
・フォロー中に少なくとも1回増悪入院したのは22人(10%)
・2変量分析で、t期間の抑うつ症状はt+1期間の低い身体活動と関連していた。抑うつ傾向が強くなると歩数は減少し、活動時間も短かった
・適応多変数モデルでは、1日の歩数が70歩減ると抑うつスコアが1点上がっている。これは簡潔なモデル(parsimonious model)では81歩であった。
・多変数モデルで不安スコアと身体活動との関連は無かった
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不安よりも抑うつ症状の方が身体活動に関連しており、増悪関連入院にも抑うつが関連しているらしい。不安と抑うつを感じる部分って違うのだろうか。脳科学が関連しそう。
不安症状は話聞いたり不安な部分をフォローすれば改善するのだろうけど、抑うつ症状って改善する術が思いつかない。
臨床心理士さんか作業療法士さんか、専門分野の方の力が必要。
経験上、薬剤の変更でしか改善が無かったのでコメディカルの適切な対処法は知っておきたい。