2016/09/09

抑うつ症状はCOPD患者の身体活動を減少させる

Depression symptoms reduce physical activity in COPD patients: a prospective multicenter study

International Jurnal of COPD 2016:11 1287–1295

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4910613/

 

背景

COPD患者の身体活動における不安と抑うつの役割は議論になる。今回COPD患者の身体活動への不安と抑うつ症状の影響を調査した。

 

方法

ヨーロッパの5つの国(ギリシャ、スコットランド、イングランド、ベルギー、オランダ)で不安と抑うつ(HADS)身体活動(加速度計)その他の特徴を220人のCOPDで調査ベースラインと6カ月後12か月後でフォローアップした。不安と抑うつの関係をベースラインと6カ月後(t)と6カ月後と12か月後の間(t+1)で回帰モデルを使用し比較した

 

結果

平均年齢67、%FEV1.0 57%ベースラインにおいて不安と抑うつの推定有病率は10%と5%であった。交絡因子と過去の身体活動を補正した多変量モデルでHADSの抑うつスコアが上がると1日あたりの歩数が81歩減少。HADSの不安スコアと身体活動は関連が無かった

 

結語

COPD患者において抑うつ症状は6カ月後の身体活動の減少と関連していた

 

HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)とは、不安や抑うつを評価する質問表不安と抑うつそれぞれ21点満点で0-7点は正常8-10点は疑い、11点以上恐らく(probable)と判断する

・加速度計は、110時間、7日間装着。装着時間、1日の歩数、活動時間を収集

・その他の評価は、増悪の履歴、喫煙歴、呼吸困難、CAT併存疾患治療内容BMI徐脂肪体重肺機能検査、6分間歩行距離

↑評価プロトコル

 

・220が対象。男性68%独居49%現喫煙者17%mMRC中央値2GOLDのステージ分類ではⅡが46%Ⅲが31%6MWDは平均423mCAT14点不安スコアで11点以上は10%抑うつスコアが11点以上は5%

・加速度計の平均装着時間は1日880分平均歩数は1日4812歩平均活動時間は1日60分

・フォロー中に少なくとも1回増悪入院したのは22人(10%)

・2変量分析で、t期間の抑うつ症状はt+1期間の低い身体活動と関連していた抑うつ傾向が強くなると歩数は減少し活動時間も短かった

・適応多変数モデルでは、1の歩数が70減ると抑うつスコアが1上がっている。これは簡潔なモデル(parsimonious model)では81歩であった。

・多変数モデルで不安スコアと身体活動との関連は無かった

 

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不安よりも抑うつ症状の方が身体活動に関連しており、増悪関連入院にも抑うつが関連しているらしい。不安と抑うつを感じる部分って違うのだろうか。脳科学が関連しそう。

不安症状は話聞いたり不安な部分をフォローすれば改善するのだろうけど、抑うつ症状って改善する術が思いつかない。

臨床心理士さんか作業療法士さんか、専門分野の方の力が必要。

経験上、薬剤の変更でしか改善が無かったのでコメディカルの適切な対処法は知っておきたい。