Neuromuscular electrical stimulation to improve exercise capacity in patients with severe COPD: a randomised double-blind, placebo-controlled trial
Lancet Respir Med 2016; 4: 27–36
背景
骨格筋の機能異常と運動耐久性低下は重症COPDに共通している。在宅運動療法として神経筋電気刺激( neuromuscular electrical stimulation:NMES)の効果を検証した。
方法
二重盲検試験方式でイギリスの3つの国家健康サービスで実施。成人COPDで、%FEV1.0が50%以下、強い呼吸困難(MRC>4)の患者に1日おきにNEMSを6週間実施。無作為化は年齢、GOLDステージ、大腿四頭筋力でバランスよく1:1で分類。プライマリーエンドポイントは6分間歩行距離の変化。分析はintention to treat。
結果
2012年から2014年の間に73人が参加。52人が無作為化され、25人がNMES、27人がプラセボNMES。6MWDの変化はNMESのほうが改善していた(平均35.7m延長)。感度分析でも同様の結果であった。イベント発生した参加者の割合は両方とも同じ程度であった。(20%vs33%)。両グループ1人ずつ、電極を使用するNMESによるもと考えられる紅斑が報告された。
考察
NMESは大腿四頭筋力を向上させることによって、重症COPD患者の機能的運動耐容能を改善させる。これらのデータは、NMESが慣習的な呼吸リハに参加できない患者の管理に使用する根拠となる。さらなる効果を得るための研究が求められる。
・NMESは左右大腿四頭筋に1日30分、6週間実施。自分で電極(10cm×13cm)を装着し、最大筋収縮の15-25%で実施。電極は大腿四頭筋の遠位と近位。
・350μsで50Hzの周波数でオン/オフを交互に実施。
・NMESは振幅範囲は0-120mA、プラセボNMESは0-20mA.
・最初に使い方をPTや看護師が30分直接指導。
・コンプライアンスを継続するために標準的な日誌、トラブルや問題のための毎週の電話、必要であれば患者に再度指導するために訪問した。
・評価は無作為化した後、6週目と12週目に実施。評価項目は6分間歩行試験(6MWT)、大腿四頭筋力、身体活動量(歩数、立位時間、起立の回数)、健康関連QOL(EQ-5D、SGRQ、CRQ)。
・平均年齢70歳、BMI25-28FEV1.0 0.82L、%FEV1.0 30.8%、前年の増悪回数4回、6MD210―220m前後。
・6MD、大腿四頭筋力、大腿四頭筋横断面積はベースラインより有意に改善。その後12週目は低下している。その他の評価は有意差無し。(下図参照)
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日本ではEMSと言った方が馴染みがあるかもしれない。身体機能の向上は得られているがそれから、活動量やQOL、息切れへの効果は無かった。教育プログラムなんかも一緒にすればほかのパラメーターにもつながるかも。
慢性期の重症例で効果ありの結果はすごい。ただ、実際に使うときの負荷量や時間の設定が難しいなと思う。