2016/08/04

早期緩和ケアを導入した効果

An integrated palliative and respiratory care service for patients with advanced disease and refractory breathlessness: a randomised controlled trial

Lancet Respir Med 2014; 2: 979–87

http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(14)70226-7/fulltext

 

背景

呼吸困難は多くの進行した疾患において増加する共通した症状で、管理が難しい進行した疾患や呼吸困難のる患者に対して早期緩和ケアと呼吸器サービスを統合した介入の効果について検討した。

 

方法

単盲検無作為化試験。南ロンドンの3つの大規模病院と開業医にて、継続した難治性の呼吸困難と進行した疾患のある患者を集めた。無作為に呼吸困難サポートか通常ケアかに分けられた呼吸困難サポートは、短期間の緩和ケア薬剤理学療法作業療法を統合したものを実施プライマリーアウトカムは6週間後の呼吸委困難の程度CRDQ全ての分析はintention to treatにて解析

 

結果

2010年から2012年の間、105人の患者を無作為化83人の患者が6週間後の評価を完了呼吸困難サポートグループの支配感(mastery)は対照群より改善していた感度分析でも同様の結果であった。6か月の生存率は呼吸困難サポートグループのほうが良かった生存の差はCOPDと間質性肺疾患の患者で差があったが、がんでは無かった

 

考察

呼吸困難サポートサービスは呼吸困難の支配感を改善する。今回の結果は、がん患者以外で早期に緩和ケアを統合することの強固なエビデンスを示した。さらに介入することで生存率が改善するかもしれない。

 

・患者選択基準は、原疾患の治療を行っていてMRC息切れスコアが2点以上、がんやCOPD間質性肺疾患慢性心不全、運動ニューロン障害があり、PTまたはOTによる短期間の在宅介入を約束2週間以内の急性増悪の治療を行った患者は除外

・呼吸困難サポートサービスは、通常のイギリス健康サービスに加えて実施。他職種による呼吸理学療法、作業療法、緩和ケアアセスメントと管理。身体的、精神的、心理的な面の評価も実施。

・呼吸困難サポートサービスは、最初に外来で薬物療法と緩和ケアの現在の治療について評価。患者と家族に呼吸困難に関する情報、管理、動作指導などを行う。危険時の計画(アクションプラン?)についても確認。2,3週間後に自宅でPTまたはOTによる歩行や家事や自己管理の強化DVDを使った運動を指導

・アウトカムは6週間時点の呼吸困難の支配感(CRDQの支配感)

・第2アウトカムは過去24時間の呼吸困難感(LCADLで評価)CRDQのほかのドメイン(呼吸困難疲労感情機能)EQ-5DHADS肺機能

 

ベースライン特性

 

生存数:サポート群では半年後ほとんどの疾患で100%

生存曲線:サポートしたほうが生存率は高い。

 

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平均年齢67歳でサポート介入をすれば、半年後の生存率が明らかに高い。

慢性疾患の管理には周囲サポート体制が重要だ。

この研究の良いところは自宅での生活指導を家族にも伝えていることだと思う。

死ぬまで付き合う持病を理解してくれる人がいることは結構大事なのかもしれない。目の前で家族が窒息しそうな呼吸状態だったら一番に助けてもらわないと取返しつかないし。