2021/12/16

間質性肺疾患の骨格筋

Skeletal muscle atrophy in advanced interstitial lung disease


 Respirology (2015) 20, 953–959


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26081374

 

背景

間質性肺疾患(interstitial lung disease:ILD)患者個々の骨格筋機能異常に関する検討は少ない。我々は、進行したILDと健常群で上肢と下肢の筋肉の大きさと強さを比較した2つ目に筋肉の大きさと強さと機能について検討した。

 

方法

進行したILD患者は肺移植のリストに記載されており、健常者は研究された。Bモードの超音波で大腿直筋の横断腓腹筋ヒラメ筋上腕二頭筋の厚さを計測した対象は、等尺性筋力テストShort Physical Performance Battery:SPPBTimed Up and Go非支持型上肢運動テストを実施

 

結果

26人の進行したILD(平均年齢61歳FVC2L%FVC49%)と12人の年齢性別をマッチさせた健常群健常群と比べてILD患者は大腿直筋の横断面が小さく、膝伸展筋力と底屈筋力が弱かったが、上腕二頭筋はそうではなかったILD患者において、大腿直筋の横断面と膝伸展筋力 (r = 0.63; P < 0.01)上腕二頭筋厚(r = 0.78;P < 0.01)、肘伸展筋力(r = 0.78;P < 0.01)は中等度の相関が認められた

 

考察

進行したILD患者は、下肢筋の萎縮と筋力低下が認められた今後の研究で進行したILD患者に対しての運動の効果を評価すべきである。

 

・対象患者は、40以上で肺移植を待機している患者で、移植前リハビリテーションプログラムを少なくとも4週間実施している。6MWDは375±114m

・筋肉のサイズで有意差があったのは大腿直筋横断面、腓腹筋とヒラメ筋が重なっている部分の厚さ。上腕は有意差なし。

・筋力で有意差があったのは、膝伸展と足関節底屈筋力。これも上肢は有意差なし。

・身体機能では、上肢の耐久性テスト、TUGSPPB合計

・下肢筋群が特に低下しているのは廃用によるものだろう。上肢筋力が保たれるのは先行研究と同じ。また、COPDと似た結果。

・肺疾患の筋機能異常の原因は、廃用、低酸素、低栄養、酸化ストレス、組織的炎症、薬剤など多岐にわたる。



大腿直筋横断面積(CSA)と膝伸展筋力の相関