2016/02/06

COPDの呼吸困難感と慢性鼻症状

Association of chronic nasal symptoms with dyspnoea and quality-of-life impairment in chronic obstructive pulmonary disease


Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2013; 8: 89–96.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3575129/





背景と対象

現在の研究では、慢性鼻腔症状(CNS)COPDでよく見られるが、息切れとQOLの障害への影響に関しては明らかになっていない。

方法

フランスのCOPDコホート‘Initiatives bronchopneumopathie chronique obstructive’ においてCOPD患者のCNSの頻度を分析し、影響とリスクファクターの関係を分析した単変量多変量解析でCNSと社会背景リスクファクター呼吸器症状肺機能QOL(SGRQ)、息切れ(mMRC)精神障害(HADS)増悪の数併存症の状態の関係について検討した。

結果

CNSは274人のCOPD患者中115人(42%)に認められた彼らは、鼻汁が62%鼻閉43%に認められた多変量解析においてCNSのあるCOPD患者はSGRQのスコアが高くQOLの低下と相関していた増悪肺機能HADSは独立して関連してなかった。SGRQドメインの中ではactivityスコアが独立して関連していた

SGRQスコアは余剰分を除いたときmMRCがCNSと独立して関係していたリスクファクターとしては、累計喫煙本数、花粉症、アトピー性皮膚炎が職業的な曝露を除くとCNSと関連していた

考察

このCOPD患者においては、CNSはよく出現しており、息切れやQOLの低下と関連していたCNSは体系的に評価されるべきでありCOPDの管理において目標(ターゲット)となりえる



2016/02/03

COPD増悪入院は認知機能低下と関係

Cognitive dysfunction in patients hospitalized with acute exacerbation of COPD.
Chest. 2013 Jul;144(1):119-27.


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23349026

ABSTRACT
背景:認知機能障害は最近COPDの合併症として最近よく研究されている。低酸素血症のある患者生じることが知られているが、急性増悪中に生じるかは証明されていない。
目的:本研究の目的は、急性増悪から回復して退院待機しているCOPD患者と安定している外来COPD患者と健常人のコントロール群とで神経心理学的なパフォーマンスを評価すし、比較すること。
方法:110人の患者をリストアップ。30人は増悪フォローで退院待機、50人は安定したCOPD、30人はコントロール群。
神経心理学的テストはエピソード記憶、遂行能力、視空間機能、ワーキングメモリー、遂行速度、病前にできていたこと。3か月で患者の評価は完了した。
結果:増悪患者は低酸素、重症度、脳血管障害リスク、喫煙歴と独立して安定期患者の認知機能の測定された範囲を超えて著しく悪かった。増悪患者では、57%以上は障害範囲であり、20%は遂行速度が病的に失われているとされた。認知機能障害はSGRQの悪いスコアと長期入院と関係していた。これらは3か月後のフォローでも著しい改善は見られなかった。
考察:増悪で入院した患者の認知機能障害は健康状態の悪さと長期間の入院と関連していた。軽度~重度の認知機能障害患者が退院を勧められていない割合は著しく、改善や回復はしないかもしれない。

��方法>
健康評価
��肺機能は気管支拡張薬吸入後の値。SGRQ、CAT、MMSEを比較。
脳血管障害リスクはFramingham Storoke Risk Scale( FSRS) を使って評価。
認知機能の評価
 :3つの方法で行った。⑴年齢で合致した群間で比較⑵正常値から得られた割合で比較⑶患者自身が推定した病前の活動性を比較。
��結果>
認知機能:全体を通して増悪群が最も悪かった。安定群はコントロール群より視覚記憶、遅れた言語記憶、言葉の流暢さを除いた全ての項目で悪かった。
認知機能の回復:全体を通して増悪群の認知機能改善は得られなかった。

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増悪による低酸素血症が脳の不可逆的な損傷を引き起こしている?

CPF≦242L/min

Cough peak flow as a predictor of pulmonary morbidity in patients with dysphagia.
Am J Phys Med Rehabil. 2012 Sep;91(9):783-8.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22561382


ABSTRACT
目的:咳の評価が持続性の気道内誤嚥のある嚥下障害患者の合併症のリスクを反映するかを確かめること。

デザイン:後方視的に得られた修正バリウム嚥下テスト(MBSstudy)とCPFを含む肺機能検査を受けた55名の嚥下障害患者が対象。結果は誤嚥による肺合併症の有無で比較した。

結果:合併症のあった18名(33%)は平均CPFが著しく低かった。MBSでの気道内コーティングは肺合併症の事象に無関係であった。ROC曲線でCPF≦242L/minは肺合併症が予測されるとされた。(感度77%特異度83%)

まとめ:CPFが慢性的な誤嚥の有効な呼吸予後予測となりえることを示した。本研究が嚥下障害患者の咳嗽力を向上させる新しいリハの戦略になることを示唆した。


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VFで誤嚥があっても、咳の力があれば、誤嚥性肺炎は防げるかもしれない。
ただCOPDとかで、この数値を超える咳が出せる人は少ない気がする。
咳を強くするための介入方法は…と調べてみたが、まだ確立されていないみたい。

はじめまして

福岡県北九州市のとある病院で理学療法士をしています。
臨床5年目。病院だけでなく、関連のデイサービスや介護施設でも経験させていただいたり、学会発表させていただいたり、日々たくさん経験させてもらっています。


先輩PTから教えてもらった某内科開業医の先生のブログを拝見していつも刺激をうけてました。
どうやったらあんなに多分野の膨大な量の論文を読めるのか。。。

数をこなすことが必要だと思い読み始めました。(抄読会があるのもありますが、、)


理学療法士という職業は好きですが、知識や客観的視点よりも主観や経験がものをいうような風潮を感じます。もちろん経験に勝る財産はないと思います。


じゃあ、経験するまではどうしたらいいのか?病院でのリハは1年目も10年目も同じ診療報酬。
数字的な経験の差は埋められない。じゃあ、どうする?


知識を身に着けよう。


頭でっかちにならないようには気を付けながら。。

とりあえずやってみようと思います。