2026/01/22

酸素療法のレスポンダー

 Does correction of exercise-induced desaturation by O(2) always improve exercise tolerance in COPD? A preliminary study

Respir Med. 2008 Sep;102(9):1276-86.


●summary
Reserch Question:運動誘発性の低酸素血症を補正することは、COPD患者の運動耐容能や心肺適応能力の向上に寄与するか?
運動負荷試験での連続運動時間が、酸素投与の有無で変わるかで評価


【対象、方法】
中等度から重度のCOPD患者25例
軽度の低酸素血症を呈す(安静時SpO2よりも4%以上の低下かつ漸増運動負荷試験で3分間以上SpO2<90%の時間がある)
除外:運動テストを行えない、病状不安定(過去2ヶ月以内の増悪歴)、長期酸素療法使用

・運動誘発性低酸素血症の定義
安静時よりも4%以上のSpO2低下
漸増運動試験で3分間のSpO2<90%あり

・漸増運動試験
エルゴを使用した漸増運動負荷試験
最大運動負荷(Wpeak)、最大酸素摂取量(VO2 peak)の既定、運動時の低酸素血症の探索を目的に実施

酸素療法のレスポンダーを同定する方法
・定常運動負荷試験
運動負荷試験で得られたWpeakの60%負荷で4回実施
室内気(air)と酸素投与の状況をランダムに2回ずつ実施
ペダルの回転数は50-70rpm
SpO2、息切れ、疲労感、持続時間(Tlim)を測定
実施中のSpO2が90-95%を維持できるようにFiO2を調整

・自覚症状(息切れ、下肢疲労感)の評価
VASを使用
客観的な下肢疲労感の評価のために表面筋電計で評価

・酸素療法のレスポンダーの定義
ネガティブレスポンダー(R-,酸素に反応しなかった)基準
→室内気のTlimよりも酸素投与しても10%以上Tlimが短かった(=酸素投与しても連続運動時間が変わらないor短かい)
ポジティブレスポンダー(R+,酸素に反応した)基準
→室内気のTlimよりも10%以上Tlimが長かった(=酸素投与することで連続運動時間が長くなった)

この10%という基準は、Jollyの基準( Effects of supplemental oxygen during activity in patients with advanced COPD without severe resting hypoxemia)に従って定義したとのこと

【結果】
R+は14例、R-は7例,酸素付加してもTlimが変わらなかったのが4例
R+はTlimが68%増加
R-は、低酸素血症や運動強度が同程度にもかかわらず、室内気の方がより長く運動できていた。

●酸素療法のレスポンダーの違いは?
R+の方が、呼吸数や換気量が低かった。
循環動態では、心拍数と心拍出量が少なかった。
:酸素投与により呼吸数や心拍数が少ない方が酸素療法による持続運動時間を延長が見込める?

なぜ?
→中枢神経系の受容体の影響がこの現象を説明できる。
末梢化学受容体は、酸素療法によって刺激される。この刺激は、脊髄内の呼吸中枢や循環中枢への求心性の反応を活性化させる。
この反応が症状の自覚を減少させ、換気や心臓の反応を減少させた。
→呼吸数が減少することで、動的肺過膨の減少に影響し、換気予備量を増大させることで、息切れ症状の緩和に影響したのではないか。