2025/03/05

COPDとILD リハ前後でFIMは向上 FIMが生存に寄与する可能性

Pulmonary rehabilitation and functional independence: Impact on survival in patients with fibrotic interstitial lung disease or chronic obstructive pulmonary disease

Respir Med
2025 Feb:237:107933.
 


【背景】
呼吸リハビリテーション(PR)はILDやCOPD患者の身体機能を改善させる。
PRによる機能改善の影響が、その後の生存に影響するか明らかになっていない。
目的は、PRによる機能的自立度とPR3年後の生存との関連について検討すること。

【方法】
対象は線維性ILDとCOPD患者
3週間の入院呼吸リハを実施
FIMはリハ開始時と終了時に評価
FIMと患者背景、臨床的/身体的パラメーターの相関を分析した。PRから死亡/肺移植/打ち切りまでの時間を評価し、ベースライン/FIM変化/上昇、下降で層別化した。

【結果】
223人の患者が対象(ILD76例、COPD147例)平均年齢はILD69歳、COPD67歳。
両グループとも、FIM合計と運動点数は著明に向上した。
ベースラインのFIMはPRによるFIMの変化と負の相関を示し、6MWD変化とFIMの変化は正の相関を示した。(ベースラインFIMが低いとFIM変化は大きく、6MWDの変化が大きいとFIMの変化も大きい傾向)
FIM運動項目が1ポイント上がるごとに、死亡リスクは3%低くなる。

【考察】
入院呼吸リハは、ILDやCOPDのFIMを改善させる。ベースラインFIMとFIMの変化はリハ実施3年後の生存率向上と関連していた。
これは、慢性呼吸器疾患患者においてリハの重要性を強調し、ADL自立の段階でも重要であることを示した。

2025/03/02

COPDとILDの呼吸筋力動員の違い

Differences of ventilatory muscle recruitment and work of breathing in COPD and interstitial lung disease during exercise: a comprehensive evaluation

ERJ Open Res
2024 Jul 8;10(4):00059-2023.
 


【背景】
COPDと間質性肺疾患(ILD)は代表的な慢性呼吸器疾患であり、QOLに影響する。呼吸筋の役割と違いは未だ明らかになっていない。
この研究の目的は、COPDとILDの運動中の呼吸筋の動員割合と負荷(仕事量)の評価をすること。

【方法】
COPD、ILD、健常者(各20例)の感覚メカニクス(sensosry-mechanical)の関連を比較。
その他の評価は、肺機能、非侵襲的・侵襲的な呼吸筋力、表面筋電図、呼吸機能評価。

【結果】
COPDとILDで健常者と比べて静的呼吸筋力は低くないが、運動テストの結果は低く、横隔膜圧(Pdi)は上昇していた。
食道圧は低下し、胃内圧(Pga)は上昇していた。
COPDにおいて、吸気時にPgaは特に上昇していた。
ILDにおいて、補助吸気筋力の動員が特に多く、一方COPDでは、呼気吸気ともに使用を認めた。
神経力学的非効率性(呼気量に対応しない神経呼吸駆動の増加)は両疾患で認められた。COPDでは、固有呼気終末陽圧(PEEPi)と呼気呼吸仕事を克服するための弾性呼吸仕事がかなり増加するが、ILDでは、非PEEPiの弾性呼吸仕事が全呼吸仕事の中で最も高い割合を占める。

【結論】
 COPDおよびILDでは、呼吸筋の早期活動および呼吸仕事量の増加が、呼吸困難、運動不耐性、換気の神経力学的非効率性に大きく寄与している。P diの発生機序は疾患間で異なっていた。