BMC Sports Sci Med Rehabil (IF: 1.93; Q4). 2022 May 26;14(1):96.
【背景】
筋萎縮と筋力低下は、ICU入室の重症患者に共通した問題である。
筋力低下が重度のケースでは、四肢麻痺、腱反射の低下や消失、人工呼吸器からの離脱遅延、身体不活動、死亡率の低下などを引き起こす。
この研究の目的は、ICU入室患者に対して、関節可動域練習(ROMex)とマッサージが筋力に有効かを検討した。
【方法】
イラン南東部のAfzalipour hospitalにおける単盲検ランダム化比較試験。
90人の意識のあるICU患者が対象。ランダムに3グループに分けた(マッサージ、ROMex、コントロール)
研究者/共同研究者が、1日1回、週7日マッサージやROMexを実施。
ハンドヘルドダイナモメーターで介入前、4日目、7日目の筋力をPM8時に測定。
【結果】
介入前と比べた各筋力の変化
右上肢筋力:ROMex0.63kg上昇、マッサージ0.29kg上昇、コントロール0.55kg減少
左上肢筋力:ROMex0.61kg上昇、マッサージは0.28kg上昇、コントロール0.56kg減少
右下肢:ROMex0.53kg、マッサージ0.27kg上昇、コントロール0.70kg減少
左下肢:ROMex0.54kg、マッサージ0.26kg上昇、コントロール0.71kg減少
【考察】
ICU入室患者に対して、ROMex、マッサージ介入は、筋力向上に有効な介入であった。
対象:18歳以上、意識障害無し、上下肢骨折無し、神経疾患無し、DVT無し、電解質(カリウム、リン、マグネシウム)異常なし
筋力測定
上肢:三角筋、上腕二頭筋、手関節伸筋
下肢;腸腰筋、大腿直筋、大腿四頭筋、前脛骨筋
3回測定し最高値を採用。
ROMex
入院初日から開始。通常ケアに加え、他動、自動、自動介助ROMを1日1回、週7日
患者は仰臥位で、状態に応じて実施
上肢:肩屈曲/伸展/外転、肘屈曲/伸展、手関節屈曲/伸展、手指
下肢:股関節屈曲/伸展外転、膝関節屈曲、、足関節底背屈
30-60分実施
マッサージ
全身マッサージを1日1回週7日
"the Swedish massage style"を実施
コントロール
通常のROMexを15分(Additional file 1に内容は収録)