Thorax (IF: 9.14; Q1). 2021 Jul;76(7):672-680.
【背景】
運動時低酸素血症は、慢性線維性間質性肺疾患(f-ILD)の特徴である。
重度の低酸素血症が運動筋の疲労を増大させるかについて明らかになっておらず、仮にそうであれば、動作時に酸素療法を行うことはこられの問題を解決させるかもしれない。
【方法】
16人の患者(12人男性、9人IPF)を定常負荷サイクルテスト(最大負荷の60%)を症候限界まで実施(Tlim)。
15人の年齢、性別をマッチさせたコントロールグループでTlimを計測。
患者は、繰り返して、同様の時間をO2(42%±7%)使用して実施。
近赤外分光法で外側広筋の酸化ヘモグロビン(HbO2)を評価。
運動前と運動後の筋力の変化(ΔTw)を大腿神経磁気刺激で筋疲労を定量化した。
【結果】
患者は重度の低酸素血症を示し(最低SpO2 80%)、これはコントロールグループと比べて、酸化ヘモグロビンの緩やかな増加と関連していた(+1.3±0.3 µmol vs +4.4±0.4 µmol, respectively; p<0.001)
コントロールグループの運動負荷よりも1/3以上低いにもかかわらず、ΔTwは患者で大きかった。
ΔTwは患者でより大きかった。
O2吸入は動作時低酸素血症からの回復、酸化ヘモグロビンの増加と関連しており、ΔTwの低下を抑制していた(酸素使用した方が筋出力低下を抑制していた)。
酸素吸入は、下肢疲労感を改善させた(p=.005)。
【考察】
運動中の酸素療法は、f-ILD患者の下肢筋の酸素化と疲労感を改善させた。
運動耐容能を向上させるために、末梢筋の疲労を軽減させることは、治療目標として無視されており、この患者グループにおいては、注意すべきである。