2022/07/11

低酸素血症のあるCOPDに対しての在宅酸素は生存率に影響するか?Lancet2022

Home oxygen for moderate hypoxaemia in chronic obstructive pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis

Lancet 2022 


【背景】
長期酸素療法(LTOT)は重度の低酸素血症のあるCOPD患者の生存率を向上させる。
しかし、LTOTが対象とならない中等度の低酸素血症(夜間のみの低酸素血症を含む)の最適な管理については定まっていない。
中等度の低酸素血症のあるCOPD患者における在宅酸素(LOTOか夜間のみの酸素吸入)の効果について検討した。

【方法】
このシステマティックレビューとメタアナリシスでは、2022年1月にデータベースで中等度の日中低酸素のあるCOPDもしくは夜間のみの低酸素血症のある患者に対して、パラレルグループorランダム化試験で検討を行った研究を対象。
コントロールグループは、通常ケアもしくは圧縮酸素の吸入(placebo)を実施。
プライマリーアウトカム:3年間の死亡率
クロスオーバー試験と重症低酸素血症の酸素の研究は除外。
2人のレビュアーが適格、除外基準を選別。
方法の質はthe Cochrane Risk of Bias toolを使用して評価。
3年間フォローし、在宅酸素の死亡率の相対リスク減少が30-40%をMCIDと設定。

【結果】
2192件の研究をスクリーニングし、161件で本文をスクリーニング、6件の文献が適格基準を満たした。
これら6文献はランダム化試験で、1992年から2020年に採択され、質的エビデンスは高かった。
最初のメタアナリシス(5文献、1002人)において、3年後の死亡率の減少効果は小さいかほぼ無く、(相対リスク0.91、95%CI0.72-1.16)、したがって、95%CIの下限では、MCIDを満たすことができなかった。

【考察】
今回の結果は、中等度低酸素血症のあるCOPD患者における在宅酸素療法による3年間の生存率に与える影響は、わずかかほぼ無いということを示唆した。
今回の対象患者群に対して、在宅酸素の使用を広く支持するものではない。