2020/08/22

間質性肺疾患の呼吸リハ review

 Pulmonary rehabilitation in interstitial lung diseases

Current Opinion in Pulmonary Medicine: September 2020 - Volume 26 - Issue 5 - p 470-476


<本レビューの目的>
間質性肺疾患(ILD)患者に対する呼吸リハの現在のエビデンスについてレビューを行った。特に、運動療法と教育を用いたQOLと運動耐容能の改善に関して注目した。

<結果>
より長い期間の呼吸リハを実施すると、運動耐容能やQOLが向上
ILD特異的な教育項目を監視下運動療法に加えて行った。
高酸素療法を用いて運動を行う効果に関して、さらなる研究が必要であり、口すぼめ呼吸のようなその他の方法は逆効果である。

<考察>
現在のILD患者に対する個別的な呼吸リハプログラムに関するエビデンスをまとめた。
運動の方法や教育内容、呼吸法など、ILDに特化した内容のさらなる検討が必要である。

・運動処方
最大運動負荷もしくは6MWTの最大歩行速度から処方していた
週2回、1回90分を12週間行っているものが多かった
プログラムの完遂率は77-93%
Nishiyamaらの研究では、歩行速度の80%もしくはエルゴの最大運動負荷の80%。20分の上下肢筋トレを実施。

・運動の効果
ILDを含む呼吸器疾患での6MWDは14-30mがMCIDと記されている
SGRQで評価したQOLはー20からー6ポイントの改善
歩行距離や筋力が改善するが、歩数や中等度以上の身体活動量は増加しなかった
1日10時間以上座って過ごしていると入院リスクが2.4-5倍
週の歩行時間が150分以上であると、入院リスクが74%減少、死亡リスクが86%減少
運動療法に加えて身体活動量の測定と行動変容のアプローチが必要


・呼吸法
COPD患者に対して、口すぼめ呼吸は呼気時間の延長を図り、動的肺過膨張の抑制のために有効である
ILD患者に対しての効果は不明であるが、Parisien-La Salleらがデザインしたクロスオーバー試験で、口すぼめ呼吸は、呼吸数や肺容量を減少したにも関わらず、息切れが増強(borgスコア+1)し6MWDが減少(-29m)した
動作に伴って換気需要が増加したことが原因と思われる
患者の状態に応じて、評価し、実施することが重要である