2018/08/06

肺炎患者の運動療法 VS 呼吸練習

Inpatient rehabilitation improves functional capacity, peripheral muscle strength and quality of life in patients with community-acquired pneumonia: a randomised trial.

J Physiother. 2016 Apr;62(2):96-102.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26996093

<目的>
市中肺炎で入院した患者は、呼吸理学療法よりも、運動ベースのリハビリテーションプログラムを行った方が、機能的アウトカムや症状、QOL、在院日数が改善するか。

<対象>
49人の成人市中肺炎患者

<介入>
介入グループ(32名)はフィジカルトレーニングプログラム(ウォームアップ、ストレッチ、骨格筋力トレーニング、コントロールされた速度で歩行15分)を実施。
コントロールグループ(17人)は、呼吸理学療法(パーカッション、vibrocompression、呼吸練習、フリーウォーキング)を実施。
介入期間は連続8日間


<アウトカム>
プライマリーアウトカムは the Glittre ADLテスト
セカンダリーアウトカムはシャトルウォーキングテストの歩行距離、骨格筋力、QOL、息切れ、肺機能、CRP、在院日数
評価は介入前1日と介入後1日目に実施

<結果>
the Glittre ADLテスト、ISWTは、介入グループの方が著明に改善
QOL、息切れ、骨格筋力も介入グループの方が、改善した。
グループ間で差が無かったのは、肺機能、CRP、在院日数

<考察>
入院リハビリテーションプログラムを実施した後の機能的アウトカムの改善は、標準的な呼吸理学療法による改善よりも大きかった。
運動療法プログラムは、運動耐容能、骨格筋力、息切れ、QOLの明らかな効果を導く。

・コントロールグループの内容:標準的な呼吸理学療法を1日50分、8日間実施。
排痰;両側臥位でのパーカッションとバイブレーションを10分ずつ。分泌物の喀出や乾性咳嗽になるまで
呼吸練習;換気増大を目的に実施。腹式呼吸、吸気筋トレーニング
ウォーキング;自己のペースで10分

・介入グループの内容:1日50分を8日間
ウォームアップ;上下肢の運動を5分とストレッチ5分
骨格筋トレ;約25分。セラバンドを用いて、最大筋力の約70%の負荷で、8回を3セット。
それぞれのセットの終了時点で息切れと疲労感をBorgで聴取(4-6が目標)
歩行;10mの平地を15分。ISWTの70%負荷でのendurance shuttle walk testに合わせて実施。
SpO2<84%を下回ったら椅子に座って休憩。
運動強度は、症状(Borgで4-6)もしくは、HRmaxの70%。