2017/11/02

間質性肺疾患の呼吸リハの効果

Effectiveness of pulmonary rehabilitation in patients with interstitial lung disease of different etiology: a multicenter prospective study

 BMC Pulmonary Medicine (2017) 17:130

https://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12890-017-0476-5


<背景>
最近の間質性肺疾患患者の呼吸リハのエビデンスが示されている。しかし、いまだに、疾患の重症度や病理による効果の影響については明らかになっていない。今回、前向き研究で1)ILD患者のリハの効果について検討すること、2)ベースラインの運動耐容能、疾患重症度、病理がアウトカムに影響するかを検討した。

<方法>
41人の患者(IPF63%)が参加。2施設にて標準的な呼吸リハを実施した。肺機能、漸増負荷試験、定常負荷試験、6MWT、mMRC、SGRQをリハ前後で評価した。相関係数はベースラインの評価と病態(IPFもしくは非IPD)の6分間歩行距離、HRQOL。

<結果>
40人がプログラムを完了。運動能力、症状、SGRQ、MRCは呼吸リハ後著明に改善。ベースラインで6MWDが短い患者は、6MWDの大きな改善とSGRQの症状の改善が見られた。

<結論>
ILDの異なる病態や重症度の患者でもリハを行うことは有効であることが示された。ベースラインの亜最大運動耐容能は、異なる病態において、機能的な効果と症状の効果の療法と逆相関していた。


・呼吸リハの内容:週6時間、運動療法(上下肢の持久力運動)と呼吸法2セッション、週4-5回を少なくとも30分、週3セッションのグループ教育。
・トレーニングは、24セッション継続し、週6日参加。それぞれのリハセッションは3時間行われた。

・運動療法は患者個々の能力に合わせてトレッドミルかエルゴを使用。抵抗運動は、軽い重りやバンドを使用。

・呼吸法は、横隔膜呼吸、ペーシング、エネルギー節約(動作コントロール)。
・酸素療法は通常のSpO2が保てるように使用。

・必要であれば、心理サポートも受けられる。

・教育セッションの内容は、薬物療法、酸素療法、栄養、パニックコントロール、リラクセーション

ベースラインの6MWDはリハ後の6MWDの変化量と逆相関している(f)

ベースラインの運動持続時間(e)と6MWD(f)はリハ後の運動持続時間の変化と逆相関


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対象が40人と少ないので、外れの値も含まれているような図であったが、ベースが悪いとリハのアウトカムの改善は見込めるかもしれない。
肺機能には依存していない。