2025/03/24

上肢活動時の横隔膜の姿勢制御に関する働き

Postural activity of the diaphragm is reduced in humans when respiratory demand increases

Journal of Physiology (2001), 537.3, pp.999–1008



・横隔膜とその他の呼吸筋の活動は通常、四肢を動かした時の体幹の姿勢制御のように、その他の活動と同調する。
呼吸運動ニューロンによる2つのインプットの和によって統合が生じるかもしれない。
本研究では、過換気によって呼吸ドライブが増加した時、横隔膜の姿勢活動が変化するかを検討した。

・横隔膜とその他体幹筋の筋電図(ECG)を13人の健常者の筋内電極で記録した。コントロールされた状態で、死腔を増やすような呼吸活動を行い、脊柱の安定性を乱すために50秒間隔で10秒間連続を4set対象者は素早く腕を動かした。

・呼気終末CO2と換気量は最初の60−120秒で増加し、プラトーに達した。死腔換気を始めて素早く腕を動かしている間、筋電図が強直し、呼吸の周波数で変調が重なった。
しかし、過換気を開始し60秒後の上肢活動しているとき、呼気中の緊張性横隔膜筋電図と腕の動きに伴う位相性筋電図が減少または消失した。
同様の変化が呼気の腹横筋でも認められたが、脊柱起立筋では異なっていた。
腹腔内圧の平均変化と腕の動きに伴う位相変化は、60秒の過呼吸の後に減少した。

・本研究のデータは、中枢性呼吸駆動の増加は、運動ニューロンに到達する姿勢指令を減衰させる可能性がある。この減衰は主要な吸気筋と呼気筋に影響を及ぼし、運動ニューロン以前の部位で調整されている可能性が高い。

2025/03/22

術前の運動療法(呼吸リハ)と呼吸理学療法(呼吸練習)の比較。PRの方が術後成績良好。

Preoperative pulmonary rehabilitation versus chest physical therapy in patients undergoing lung cancer resection: a pilot randomized controlled trial

Arch Phys Med Rehabil. 2013 Jan;94(1):53-8.


【目的】
4週間の呼吸リハ(PR) vs 胸部理学療法(CPT)が術前運動耐容能や術後呼吸器疾患へ
影響するかを調査する事。

【方法】
RCT 単盲検。
肺切除術を行った患者(N=24)
無作為にPR(筋力、持久力トレーニング)とCPT(肺伸展のための呼吸練習)に振り分けた。
どちらのグループも教育セッションを受けた。
【メインアウトカムと評価】
4週間のPRもしくはCPT前後の機能的状態を評価(Phase1)。
呼吸器合併症を評価(Phase2)。

【結果】
12人ずつPRとCPTに振り分けられた。
CPTのうち3人は手術不能がんのため手術を行えなかった。
Phase1の期間にて、FVC、%FVC、6MWD、最大吸気圧、最大呼気圧が特に向上した。
Phase2の期間では、PRグループの方が術後呼吸器合併症が少なく、術後入院日数と胸腔ドレーン留置日数が短かった。

【考察】
今回の結果は、肺切除の術前4週間のPRは術後の身体機能を改善し、術後呼吸器合併症を減少させる。

2025/03/21

イギリスのCOPD管理における身体活動の費用対効果

Cost-effectiveness of physical activity in the management of COPD patients in the UK

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Jan 15:14:227-239.


【背景】
GOLDガイドラインで、疾患進行抑制のために運動が推奨されているが、身体活動(PA)の促進への保健当局による投資が少ない。
この研究の目的は、イギリスのCOPD患者において、通常のPA vs 座りがちなライフスタイルでの費用対効果を推定する事。

【方法】
影響、QOL、経済的な根拠におけるCOPD患者のPAの影響は、文献から取得し、身体活動を行っているCOPD患者と座りがちなCOPD患者を比較するために、Markov microsimulation modelへ入力して使用した。
GOLDの分類にて健康状態を層別化した。
基本のケースでは、PAに関する費用はゼロを推定され、生涯にわたる期間が用いられ、費用と影響は3.5%削減された。
解析は、 UK National Health Service(NHS)により行われた。
不確実な入力と仮定は、シナリオと感度分析で推定した。
アウトカムは、QALY(cost/quality-adjusted life year)と年間コストとした。

【結果】
今回のモデルでは、イギリスのCOPD患者のPAの影響は、死亡率の減少(-6%)、入院の減少(-2%)、生存年延長(+0.82)、QALY改善(+0.66)、総費用を2568ポンド(およそ495,423円)抑制した。
cost/QALYとcost/Yearが支配的であった。
PAは月額35£未満で費用節約効果があり、コストあたりの費用対効果は月額202£未満で費用対効果。
主なモデルは、年齢とPAが死亡や増悪入院に影響していた。

【考察】
COPD管理においてPAを含めることは長期間の臨床的効果をもたらす。
NHSが仮に運動のみを推奨した場合、今回の結果は健康に対する費用節約効果があるかもしれない。
もしNHSがPAへの資金影響を行えば、費用対効果は高いかもしれない。

2025/03/05

COPDとILD リハ前後でFIMは向上 FIMが生存に寄与する可能性

Pulmonary rehabilitation and functional independence: Impact on survival in patients with fibrotic interstitial lung disease or chronic obstructive pulmonary disease

Respir Med
2025 Feb:237:107933.
 


【背景】
呼吸リハビリテーション(PR)はILDやCOPD患者の身体機能を改善させる。
PRによる機能改善の影響が、その後の生存に影響するか明らかになっていない。
目的は、PRによる機能的自立度とPR3年後の生存との関連について検討すること。

【方法】
対象は線維性ILDとCOPD患者
3週間の入院呼吸リハを実施
FIMはリハ開始時と終了時に評価
FIMと患者背景、臨床的/身体的パラメーターの相関を分析した。PRから死亡/肺移植/打ち切りまでの時間を評価し、ベースライン/FIM変化/上昇、下降で層別化した。

【結果】
223人の患者が対象(ILD76例、COPD147例)平均年齢はILD69歳、COPD67歳。
両グループとも、FIM合計と運動点数は著明に向上した。
ベースラインのFIMはPRによるFIMの変化と負の相関を示し、6MWD変化とFIMの変化は正の相関を示した。(ベースラインFIMが低いとFIM変化は大きく、6MWDの変化が大きいとFIMの変化も大きい傾向)
FIM運動項目が1ポイント上がるごとに、死亡リスクは3%低くなる。

【考察】
入院呼吸リハは、ILDやCOPDのFIMを改善させる。ベースラインFIMとFIMの変化はリハ実施3年後の生存率向上と関連していた。
これは、慢性呼吸器疾患患者においてリハの重要性を強調し、ADL自立の段階でも重要であることを示した。

2025/03/02

COPDとILDの呼吸筋力動員の違い

Differences of ventilatory muscle recruitment and work of breathing in COPD and interstitial lung disease during exercise: a comprehensive evaluation

ERJ Open Res
2024 Jul 8;10(4):00059-2023.
 


【背景】
COPDと間質性肺疾患(ILD)は代表的な慢性呼吸器疾患であり、QOLに影響する。呼吸筋の役割と違いは未だ明らかになっていない。
この研究の目的は、COPDとILDの運動中の呼吸筋の動員割合と負荷(仕事量)の評価をすること。

【方法】
COPD、ILD、健常者(各20例)の感覚メカニクス(sensosry-mechanical)の関連を比較。
その他の評価は、肺機能、非侵襲的・侵襲的な呼吸筋力、表面筋電図、呼吸機能評価。

【結果】
COPDとILDで健常者と比べて静的呼吸筋力は低くないが、運動テストの結果は低く、横隔膜圧(Pdi)は上昇していた。
食道圧は低下し、胃内圧(Pga)は上昇していた。
COPDにおいて、吸気時にPgaは特に上昇していた。
ILDにおいて、補助吸気筋力の動員が特に多く、一方COPDでは、呼気吸気ともに使用を認めた。
神経力学的非効率性(呼気量に対応しない神経呼吸駆動の増加)は両疾患で認められた。COPDでは、固有呼気終末陽圧(PEEPi)と呼気呼吸仕事を克服するための弾性呼吸仕事がかなり増加するが、ILDでは、非PEEPiの弾性呼吸仕事が全呼吸仕事の中で最も高い割合を占める。

【結論】
 COPDおよびILDでは、呼吸筋の早期活動および呼吸仕事量の増加が、呼吸困難、運動不耐性、換気の神経力学的非効率性に大きく寄与している。P diの発生機序は疾患間で異なっていた。