2026/01/28

嚢胞性肺線維症における運動療法の効果 SR and MA 2022

Effectiveness of Physical Exercise Interventions on Pulmonary Function and Physical Fitness in Children and Adults with Cystic Fibrosis: A Systematic Review with Meta-Analysis

Healthcare (Basel). 2022 Nov 3;10(11):2205.

PMID: 36360546


<目的>
運動療法は、嚢胞性肺線維症cystic fibrosis (CF)の治療において、いくつかの有益な効果があり、死亡率減少と関連している。
小児もしくは成人のCF患者における運動療法の身体機能、肺機能への効果を検証すること。


<結果>
・肺機能
1秒量は変わらない。吸気圧と呼気圧(≒呼吸筋力)は改善
・運動機能
小児において最大酸素摂取量の改善はなかったが、筋力の改善を認めた。
成人において、高強度有酸素運動は、最大酸素摂取量と筋力の改善を認めた。

<考察>
小児および成人のCF患者において、運動介入は、筋力、心肺予備能、呼吸機能の改善を認めた。
しかし、肺機能の十分な改善は得られなかった。
最も有効なプログラムは、筋力もしくは心肺高強度インターバルトレーニングであるが、データ数は限定的である。

2026/01/22

酸素療法のレスポンダー

 Does correction of exercise-induced desaturation by O(2) always improve exercise tolerance in COPD? A preliminary study

Respir Med. 2008 Sep;102(9):1276-86.


●summary
Reserch Question:運動誘発性の低酸素血症を補正することは、COPD患者の運動耐容能や心肺適応能力の向上に寄与するか?
運動負荷試験での連続運動時間が、酸素投与の有無で変わるかで評価


【対象、方法】
中等度から重度のCOPD患者25例
軽度の低酸素血症を呈す(安静時SpO2よりも4%以上の低下かつ漸増運動負荷試験で3分間以上SpO2<90%の時間がある)
除外:運動テストを行えない、病状不安定(過去2ヶ月以内の増悪歴)、長期酸素療法使用

・運動誘発性低酸素血症の定義
安静時よりも4%以上のSpO2低下
漸増運動試験で3分間のSpO2<90%あり

・漸増運動試験
エルゴを使用した漸増運動負荷試験
最大運動負荷(Wpeak)、最大酸素摂取量(VO2 peak)の既定、運動時の低酸素血症の探索を目的に実施

酸素療法のレスポンダーを同定する方法
・定常運動負荷試験
運動負荷試験で得られたWpeakの60%負荷で4回実施
室内気(air)と酸素投与の状況をランダムに2回ずつ実施
ペダルの回転数は50-70rpm
SpO2、息切れ、疲労感、持続時間(Tlim)を測定
実施中のSpO2が90-95%を維持できるようにFiO2を調整

・自覚症状(息切れ、下肢疲労感)の評価
VASを使用
客観的な下肢疲労感の評価のために表面筋電計で評価

・酸素療法のレスポンダーの定義
ネガティブレスポンダー(R-,酸素に反応しなかった)基準
→室内気のTlimよりも酸素投与しても10%以上Tlimが短かった(=酸素投与しても連続運動時間が変わらないor短かい)
ポジティブレスポンダー(R+,酸素に反応した)基準
→室内気のTlimよりも10%以上Tlimが長かった(=酸素投与することで連続運動時間が長くなった)

この10%という基準は、Jollyの基準( Effects of supplemental oxygen during activity in patients with advanced COPD without severe resting hypoxemia)に従って定義したとのこと

【結果】
R+は14例、R-は7例,酸素付加してもTlimが変わらなかったのが4例
R+はTlimが68%増加
R-は、低酸素血症や運動強度が同程度にもかかわらず、室内気の方がより長く運動できていた。

●酸素療法のレスポンダーの違いは?
R+の方が、呼吸数や換気量が低かった。
循環動態では、心拍数と心拍出量が少なかった。
:酸素投与により呼吸数や心拍数が少ない方が酸素療法による持続運動時間を延長が見込める?

なぜ?
→中枢神経系の受容体の影響がこの現象を説明できる。
末梢化学受容体は、酸素療法によって刺激される。この刺激は、脊髄内の呼吸中枢や循環中枢への求心性の反応を活性化させる。
この反応が症状の自覚を減少させ、換気や心臓の反応を減少させた。
→呼吸数が減少することで、動的肺過膨の減少に影響し、換気予備量を増大させることで、息切れ症状の緩和に影響したのではないか。


2025/09/14

肺切除術後の入院中の活動量

 Evaluating patients’ walking capacity during hospitalization for lung cancer resection

Interactive CardioVascular and Thoracic Surgery 25 (2017) 268–271


Patients
50人の患者(33人男性)
ポータブル加速度計を入院期間中装着
術前補助化学療法や放射線治療を行っていた患者は除外

Exposure
理学療法プロトコルに準じて介入
・術後1日目:15分のエルゴを2回/日
歩行は制限なくできる限り歩くよう指導
・加速度計は入院から退院まで装着
 毎分60歩の歩行を10分継続していたら、有酸素モードに自動で切り替わる
 →通常歩行と有酸素運動の時間、歩数を分けて換算できるよう。

評価項目は、年齢、性別、BMI、切除範囲、心肺術後合併症、術前肺機能、術後予測肺機能、DLCO、歩数、歩行距離。

Comparison
個別の術前、術後の活動量
心肺合併症の有無

Outcome
平均年齢64歳、平均BMI26.9
胸腔ドレーン抜去は、平均2日後、エピ抜去は平均3日後

・歩数
術後1日目:平均5738歩
術後4日目:平均10230歩

BMIと術前と術後の運動能力に関連は無かった。
術後合併症を生じた例(7例)では、術前、術後ともに歩行距離は短かった。


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術後1日目でエルゴ15分、5000歩の歩行ってなかなかハードな印象
60歳代の術後だとこれくらいはできるのだろうか。

2025/09/12

6MWDと5回起立、30秒起立の関連、カットオフ

 A comparative study of the five-repetition sit-to-stand test and the 30-second sit-to-stand test to assess exercise tolerance in COPD patients

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Sep 10;13:2833–2839.



目的
起立テストはCOPDの運動耐容能評価で用いられるが、どの起立テストが運動耐容能の低下を予測するのか、比較したものは無い。
5回起立(5STS)、30秒起立(30STS)を比較し、どちらが6MWD低下を予測するかを検証した。

Population
 安定期COPD患者128例

Exposure
 5STSと30STSを行い、その際の息切れmBorg Scaleを質問
 その他の評価項目:肺機能、mMRC、CAT、大腿四頭筋力(QMS)

Comparison
 対照群はなし

Outcome
 6MWDやその他評価と5STS,30STSの相関
 6MWD<350mを予測する5STSと30STSのカットオフを算出


【結果】
・相関
5STSと30STS:negativeな強い相関(r=−0.783, P<0.001).
5STSと6MWD:(r=−0.508, P<0.001) 
30STSと6MWD:(r=0.528, P<0.001)

・6MWD<350mを予測するカットオフ
5STS:6.25秒(感度76.0% 特異度62.8% AUC0.731)
30STS:21.5回(感度62.0% 特異度75.0% AUC0.724)

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5STS 6.2秒って結構速いなという印象。
30秒の方が持久力反映するのかと思いきや、思ったよりも相関係数に差が無かった。

2025/06/25

転移性小細胞肺がん 運動耐容能、運動習慣の予後的意義

Prognostic significance of functional capacity and exercise behavior in patients with metastatic non-small cell lung cancer

Lung Cancer. 2012 May;76(2):248-52.


Population
 StageⅢB、Ⅳの再発転移(手術不能)NSCLC患者118例
 平均年齢61±10歳、BMI26 6MWD 396m

Exposure
 運動機能評価:6MWT
 運動習慣(行動):自己記入式で評価(the leisure score index (LSI) of the Godin Leisure-Time Exercise Questionnaire (GLTEQ))
(LSIとは・・ 通常の1週間での軽度、中等度、高強度の活動を質問し、それぞれの強度ごとに平均的な頻度、時間を調査する。総運動時間、各強度ごとの運動頻度を算出。単位はMETs-hour/week.)
 3METs:軽度、5METs:中等度、高強度:9METs

Comparison
 運動機能と運動習慣、生存との関係について解析
 PS2以上と未満に分けて、6MWDと運動習慣の生存予測への寄与を評価するCOXモデルを構築

Outcome
 運動機能、運動習慣、生存期間
 フォロー期間は、中央値26.6カ月。この間に77例が死亡(65%)
 6MWDを3分位すると、中央値283m(90-356.8m)、中央値416m(358.5-450m)、中央値510m(452-640m)。
 6MWDは生存の独立した予測因子であり、50m改善するごとに、死亡リスクは13%減少
 6MWD<358.5mと比較した、調整された危険率(adjusted hazard ratio)は、358.5-450mは0.61、450以上は0.48
 運動行動(身体活動)と予後に関連は示されr、9MWTs-hour/week未満は12.89カ月、9METs-hour/week以上は25.63カ月生存していた。

新規性:6MWDのよう運動機能評価が、これまでリスク因子とされていたもの(PS)よりも生存を強く予測した。

運動機能評価が、有効ないくつかの理由
・PSでは測定できない、ATP合成のためのO2輸送および心血管系と骨格筋系の統合能力を評価しており、この酸素輸送効率は、人間が健康を長く維持するために重要な要素の一つである。
・運動のエンドポイント(最大酸素摂取量や6MWD)が、心血管系など様々な臨床現場で利用されており、全死亡原因を強く予測しカットオフポイントも報告されている。
・運動能力評価は、治療介入にもなり得る

9METs-hour/weekとはどのくらい?
週合計で9METsの身体活動
・普通のウォーキング(4.0km/h 3METs 30分 週6日)
・毎日ラジオ体操(4.0METs 15分 週6日)+軽いスクワット(3.0METs 20分 週3回)

これなら習慣になればできそうな気もします。

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運動能力評価と合わせて身体活動の評価も重要である
9METs-hour/weekは、実現可能な感じもするが、6MWD380mというのは絶妙に活動能力が変わりそうなラインな印象(動けなくはないけど、ちょっと運動能力は低い方かな)。