2025/02/22

肺がん術前後のリハは、運動耐容能の低下を最小限にする。

Rehabilitation for lung cancer patients undergoing surgery: results of the PUREAIR randomized trial

Eur J Phys Rehabil Med2021 Dec;57(6):1002-1011


【背景】
非小細胞肺がんの手術は早期がん患者に有効である。しかし、身体的には患者へネガティブな影響を与えるかもしれない。
目的は、集中的な呼吸リハが、肺切除を行った患者の術前後の運動耐容能に影響するかを検討すること。

【方法】
単施設、1:1割付けのランダム化比較試験。
患者は通常ケアと通常ケア+集中的な呼吸リハを行うグループに分けられた。
主な目的は、呼吸リハを行うことは、手術6ヶ月後の運動耐容能の改善に影響するか。
加えて、短期間(1ヶ月後)の効果(肺機能、術後合併症、入院日数、QOL、感情機能、疼痛)も同様に検討した。
6MWTで25m以上の改善をMCIDとした。

【結果】
術後6ヶ月の運動耐容能は、通常ケアよりも呼吸リハを行った方が有意に高かった(+48.9 meters vs. -7.5 meters respectively, difference: +56.4 meters, 95% CI: 29.6-83.0, P<0.001))
介入グループでは、1ヶ月後の歩行距離の低下も有意に小さかった(-3.0 meters vs. -30.1 meters difference: +27.1 meters, 95% CI: 3.4-50.8, P=0.025)

その他のアウトカムはグループ間で差はなかった。

【考察】
術前後で呼吸リハを行った方が、6ヶ月後の運動耐容能が高かった。
また、1ヶ月後の運動耐容能の低下も低かった。

【臨床への影響】
The PUREAIR 試験では、術前後にリハビリを行なった方が、術後の出コンディショニングを減らすことができた。
包括的な呼吸リハは、術後の運動耐容能に影響する。この結果は、術後1ヶ月後6ヶ月後のリハビリのアウトカムについての知見を提供する。

2025/02/01

ILDにおける呼吸リハの生存に対する影響

Impact of pulmonary rehabilitation on survival in people with Interstitial lung disease

Chest2025 Jan 11:S0012-3692(25)00005-4.


【背景】
呼吸リハ(PR)はILD患者に対する有効な介入であるが、生存率に対する効果については明らかになっていない。この研究では、PRを行ったILD患者の生存アウトカムとコントロール群に分けて行われたRCTを比較した
・リサーチクエスチョン
PRに参加したILD患者の生存への影響があるのか?

【方法】
ILDにおけるPRの2つのRCTのデータから比較した。
PR開始から死亡、肺移植、打ち切りまで計算した。
カムランマイヤーとCox回帰分析をPRの生存に対する影響を評価した。
ベースライン評価はPR開始年齢、性別、FVC、6MWD、動作時の最低SpO2、IPFの診断

【結果】
182にんのILD患者(IPF87、男性109、平均年齢69歳、%FVC76%、%TLCO 48%)
死亡率62%、移植は6%、20%が生存し12%がフォローできなかった。
PRを完了した人の平均生存年は6.1年で、対照群は4.7年。しかし、著名な違いはなかった。(log lank p=0.7)
ベースライン変数を調整すると、5年時点で、PRを完了は死亡率が44%低下と関連していた。
10年時点で、PRと対照群では生存率に違いはなかった。

【考察】
ILD患者でPRを行っていると、5年生存に影響しているかもしれない。
PR参加の臨床的な改善と同様に、ILD患者への標準治療としてのPRの実施は、生存に有効な影響を及ぼすかもしれない。