2024/10/23

動的肺過膨張と心血管系の反応

Cardiovascular effects of exercise induced dynamic hyperinflation in COPD patients-Dynamically hyperinflated and non-hyperinflated subgroups

PLoS One (IF: 3.24; Q2). 2023 Jan 20;18(1):e0274585.


【背景】
呼吸数増加と呼気制限は動的肺過膨張(DH)を誘発し、胸腔内圧の上昇により静脈還流の悪化に関連し、1回拍出量(SV)や心拍出量(CO)へ悪影響を及ぼしているかもしれない。
COPDにおいて、運動に対する循環の適応不良がDHと関連しているのか、心血管能力自体が低下しているのか明らかになっていない。
COPD患者の一部のみが運動中の動的肺過膨張を呈している。

【方法】
肺のメカニズムと心血管の変化を示すために、運動中の動的肺過膨張のある、もしくは無いCOPD患者を対象として、新たに研究を設定した。
33人の同じ重症度と左室駆出率のCOPD患者を対象とした。
非侵襲的なデバイスを用いてthe left ventricular ejection time index (LVETi) を含む心血管パラメーターと運動中の最大吸気量(IC)を測定した。

【結果】
21人のCOPD患者がDHを呈しており、12人はDHは無かった。
最大負荷時と安静時の差を計測した。
ΔSVとΔCOはDH無しグループのほうが高かった
(ΔSV: non-DH 9,7 ± 13,22 ml vs. DH -3,6 ± 14,34 ml, p = 0.0142; 
 ΔCO: non-DH 2,26 ± 1,46 l/min vs. DH 0,88 ± 1,35 l/min, p = 0.0024).
LVETi はどちらのグループでも違いはなかった
最大負荷時の酸素運搬能(DO2)は、DH無しの方が高かった。

【考察】
COPDにおいて、運動時の心血管系の運動適応は低いことは、運動時の肺過膨張が関連している可能性があると結論付けた。


2024/10/18

手術不能肺がんの身体活動と死亡率の減少の関係

Association between Physical Activity and Reduced Mortality in Inoperable Lung Cancer

J Clin Med (IF: 3.3; Q4). 2023 Nov 27;12(23):7346.


手術不能な肺がんを対象に、デバイスで測定された身体活動、座位時間と12ヶ月後の死亡率の関係について検討した。
治療開始前7日間、加速度計を装着した。
PA,座位時間の変数は、軽負荷PA、中等度から高強度のPA(MVPA)、歩数、座位時間の合計、通常の座位継続時間を使用。
疾患ステージ、臨床的変数、12か月後の死亡率を記録より収集。
Cox回帰モデルをPA、座位時間と12ヶ月後の死亡率の関係を推定。
モデルは、疾患ステージと好中球-リンパ球比を調整因子とした。

全てのPAと座位時間は、分析のために中央値で2分した。

89人が対象(70±10歳、62%男性)
12ヶ月後の死亡率は30%。
MVPAが1日4.6分未満と比較して、4.6分より多いグループの12ヶ月後の死亡相対リスクは60%減少(ハザード比 0.4、95%CI 0.16-0.96)
その他のPA、座位時間の変数は、12か月後の死亡率とは関連していなかった。
MVPAがより多いほど、12ヶ月後の死亡率減少と関連していた。

2024/10/17

口すぼめ呼吸の効果 systematic review

Effects of acute use of pursed-lips breathing during exercise in patients with COPD: a systematic review and meta-analysis

Physiotherapy (IF: 3.36; Q1). 2018 Mar;104(1):9-17.


【背景】
口すぼめ呼吸(PLB)は、COPD患者が息切れ軽減のために広く用いられている呼吸戦略であり、運動耐容能向上のための呼吸戦略として広く指導されている。
目的は、運動中のCOPD患者を対象に、PLBをしようすることの急性効果を、運動パフォーマンス、息切れ、換気パラメーター、酸素飽和度をっ用いて検証する事

【方法】
運動中のCOPD患者に対する呼吸戦略としてPLBについて検討した横断研究、ランダム化、準ランダム化比較試験を対象とした。

【結果】
8件の研究が対象。
メタアナリシスの結果、運動中のPLBの効果は、分時換気量と呼吸数を減少させることであった。
6MWDには統計的な有意差は認めなかった。

【考察】
PLBは運動中のCOPD患者の分時換気量と呼吸数を減少させた。
PLBによる恩恵を受けられる患者(responder)については不明のままである。
今後の研究では、運動耐容能や症状についての質の高い検証が必要である。