Prediction of exercise-induced desaturation in COPD patients without resting hypoxemia: a retrospective study
BMC Pulm Med (IF: 3.32; Q2). 2022 Nov 8;22(1):405.
【背景】
運動誘発性低酸素血症(EID)に関して広く用いられている基準はない。
目的は、COPD患者でEIDの基準を2つ用いて、EIDに関するリスク因子や予測について検討すること。
【方法】
安定期COPD患者で6MWTをSpO2のモニタリングをしながら実施。
2つの基準を用いてEID発生を評価する基準とした
基準A:安静時SpO2-最低SpO2≧4%もしくは最低SpO2≦90%
基準B:安静時SpO2-終了時SpO2≧4%もしくは終了時SpO2≦90%
その他の評価として、肺機能、mMRC、CAT、BODE index、CTでの気腫化を評価。
単変量と多変量ロジスティック回帰分析でEID出現の因子を同定。
6MWTにおける予測EIDの項目をROC曲線で推定した。
【結果】
124人の患者が対象。
基準AでのEID発現率は62.1%、基準Bでは51.6%であった。
基準Bで発見したEID患者はすべて、基準Aで新たに発見した13人に含まれていた。
2つの基準の間に、統計的な有意差はなかったが、見事に一致していた(Kappa = 0.807, P = 0.001)
ロジスティック回帰分析において、%DLCO、%DLCO/VA、CATスコア、平均密度、PD15(CT肺濃度の15パーセンタイル)、気腫量、%LAAがEIDの重要な決定要因であった。
EIDを予測するためのカットオフは、
%DLCO:50.45%(AUC0.689)
%DLCO/VA:75.0%(AUC0.707)
CATスコア:15点(AUC0.727)
PD15:- 955.00HU(AUC0.691)
平均密度:- 856.46HU(AUC0.671)
気腫量:338.14 ml(AUC0.668)
%LAA:7.63%(AUC0.656)
【考察】
2つの基準でEIDを評価し、良好な結果が得られ、基準Aのように最低SpO2に着目した方がよりEID患者を発見できた。
条件が絞られると、基準BのようにCOPD患者のEID評価がより評価できる。
EIDの予測においては、%DLCO、%DLCO/VA、CATスコア、CTでの気腫量が、EIDを発見するための統計的に有意な評価であった。
※DLCO:拡散能の指標。肺容量の大きさに依存する(肺が大きければ高い)
※DLCO/VA:肺の単位体積(1.0L)あたりのDLCO。肺容量を補正(肺の大きさの影響を取り除いた)した指標。