Crit Care (IF: 9.1; Q1). 2024 Jul 9;28(1):228.
【背景】
呼吸不全患者において、体幹を半仰臥位から仰臥位、またその逆に姿勢を変えることは、呼吸メカニクス、酸素化、呼気終末肺容量、換気効率などの呼吸生理学的な効果が知られている。
これらの効果の一方で、このポジショニング操作における臨床的なエビデンスは限られている。
この人工呼吸管理中の呼吸不全患者を対象としたスコーピングレビューでは、体幹の傾斜
による生理学的な肺への影響を評価した。
【方法】
2003年から2023年までの論文をデータベースで収集。
介入は、体幹傾斜の変化。
4つの項目について評価。
1)呼吸メカニクス
2)換気分布
3)酸素化
4)換気効率
【結果】
220件の研究をスクリーニング。
これらのうち、37件を精査し、最終的な解析には13文献、274例の患者が対象。
全ての研究にて呼吸メカニクス、換気分布、酸素化、換気効率を評価し、60分以内での姿勢変化を実施していた。
【考察】
急性呼吸不全患者において、仰臥位から半仰臥位へ姿勢を変更することは、呼吸システムのコンプライアンスを低下させ、気道駆動圧(driving pressure)を向上させた。
加えて、C-ARDS患者は、換気効率が改善し、より低いPaCO2を獲得した。
酸素化の改善は、数例で確認され、半臥位の姿勢にてEELVの向上が認められた。
このように、体幹傾斜角度は、人工呼吸管理中の急性呼吸不全患者において正確に報告されるべきである。