2024/04/12

COPDにおける呼吸リハ Cochrane 2015

Pulmonary rehabilitation for chronic obstructive pulmonary disease

Cochrane Database Syst Rev (IF: 9.27; Q1). 2015 Feb 23;2015(2):CD003793.


【背景】
COPDにおいて呼吸リハビリは幅広く取り入れられており、プログラムによる実証可能な能的改善(健康関連QOL、機能的、運動耐容能改善)が証明されるべきである。
このレビューは2006年の報告のアップデートである。

【方法】
COPD患者において、健康関連QOLや運動耐容能に対する呼吸リハと通常ケアの効果を比較した。
2014年3月現在の検索結果が対象。
対象文献は、健康関連QOLや運動耐容能を評価しているCOPD患者の呼吸リハのRCT。
呼吸リハビリの定義は、"最低4週間の運動療法。教育や心理サポートの有無は問わない"
通常ケアは、追加教育ではなく、口頭でのアドバイスのみ。
薬物療法は、全参加者に対し、最善と考えられる内容に変更。
データは、ランダム効果モデルを使用した平均変化(MDs)を算出した。

【結果】
合計65件のRCTs、3822人の患者が対象。
患者背景は、介入群、通常ケア群に有意差なし
呼吸リハを行った場所は、病院は41件(入院、外来)、地域は23件(コミュニティセンター、自宅)
多くのプログラムが12週もしくは8週間実施され、全体では4週から52週間行われていた。
健康関連QOL(CRQ、SGRQ)が有意に改善。
運動耐容能(最大運動負荷)は、呼吸リハ実施にて有意に改善。
効果量のMCID(4watt)を達成していた。
6MWDは、臨床的に有効な値を超える治療効果が得られていた。

サブグループ解析にて、病院での介入と地域での介入を比較すると、どちらもCRQのすべてのドメインで改善を認めており、病院での介入の方が、平均すると良好な値が得られていた。
SGRQは、この違いは見られていなかった。
リハビリプログラムに関して、運動療法のみとその他の介入を組み合わせた内容では、明らかな改善効果は示されなかった。
しかし、どちらのグループ解析も混乱する可能性があるため、慎重に解釈する必要がある。

【考察】
呼吸リハビリは、息切れや疲労の改善、感情機能、疾患制御感覚の向上、などが得られる。
これらの改善は、中等度以上の改善である。
リハビリは、COPD管理において重要な要素であり、健康関連QOLや運動耐容能を改善させるてめに必要である。
我々の意見は、COPDに対する呼吸リハビリと従来の治療を比較するRCTは不要である。
今後の研究では、呼吸リハの個別の構成要素について、期間や場所、監視の頻度、運動強度、どのくらいの治療期間が効果を得るのに必要かについて注視していくべきである。
今回、病院と自宅では、CRQの改善効果に違いが見られているが、運動のみや複合的な呼吸リハプログラムには違いはなかった。