2023/03/30

退院時4m歩行速度はその後の再入院率、死亡率を予測する。

Gait speed and adverse outcomes following hospitalised exacerbation of COPD

Eur Respir J (IF: 16.67; Q1). 2021 Nov 11;58(5):2004047.


【背景】
4m歩行速度(4MGS)は簡単な身体パフォーマンス評価であり、フレイルの代理マーカーでもあり、高齢者の有害事象と関連している。
4MGSの活動評価が、COPD急性増悪(AECOPD)で入院した患者の予測位因子となるかを検討した。

【方法】
213人のAECOPDで入院した患者が対象(52%男性、平均年齢72歳、%FEV1.0 35%)。
4MGSとベースライン背景は退院時に記録。
全理由による再入院と死亡率を退院1年後に収集し、多変量Cox比例ハザード回帰にて検定。
カプラン-マイヤーと競合リスク分析を使用して、四分位に分けた4MGSで再入院リスクと死亡率を比較。

【結果】
111人(52%)が再入院、35人(16%)は死亡していた。
4MGSは全理由による再入院と関連しており、調整済み下位分布のハザード比は0.1m/s早くなるごとに0.868 (95% CI 0.797-0.945; p=0.001)。死亡リスクはは、0.1m/s早くなるごとに0.747 (95% CI 0.622-0.898; p=0.002)
4MGSを加えた再入院と死亡率モデルは 年齢や%FEV1.0単独よりも高い識別性を示し、それぞれのAUCは、0.73、0.80であった。
カプラン-マイヤーと競合するリスクカーブは、より遅い四分位では、再入院と死亡までの時間を短縮させた(log-rank, both p<0.001).

【考察】
4MGSは退院時COPD患者のリスクを簡便に示した。
退院後のケアやサポート計画に有益な情報を提供する。

・イギリスのコホート研究
・35歳以上のCOPD増悪入院で、退院時にリクルート(介助なしに5m歩行可能)

・退院前24時間以内に評価。
・評価項目:4MGS、喫煙歴、BMI、FEV1.0、自己申告の前年の入院歴、入院日数、MRC息切れスコア、併存症(CCI)、 the DECAF Score、SGRQ、ADL(KatzIndex)、自己記入の身体活動(modified Minnesota Leisure-time Physical Activity Questionnaires)、呼吸リハの参加歴

・退院後12ヶ月フォロー

・再入院:患者からの報告やデータベース、開業医の記録から収集

~考察~
・4MGSが予測因子となった理由
→歩行速度が、フレイルやサルコペニアの代理(surrogate)マーカーである。
→4MGSは、健康関連QOLや運動耐容能、死亡率と関連しているとの過去の報告あり。

・臨床的意義
4MGSでCOPD患者を層別化でき、治療選択や退院後のケア(社会的支援、緩和ケア等)を考慮する際に有効
4MGSが遅い患者グループは、退院後呼吸リハを受ける必要がある。