2017/08/31

インターバルトレーニングと持続トレーニングの効果を比較

Interval versus continuous training in individuals with chronic obstructive pulmonary disease--a systematic review.

Thorax. 2010 Feb;65(2):157-64.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19996334


<背景>
COPD患者において、インターバル運動は持続運動と比べて、より大きな身体的運動の効果が得られる。このシステマティックレビューの目的は、インターバル運動と持続運動での最大酸素摂取量、最大筋力、6MWD、健康関連QOLを比較すること。

<方法>
無作為化比較対象試験で、インターバルトレーニングの効果を検討した文献を6つのデータベースから検索。2人のレビュアーが研究の質を検討した。加重平均の差(Weighted mean differences;WMD)を95%信頼区間で、運動耐容能や健康関連QOLの効果を計算した。

<結果>
8つの無作為化試験が該当。388人のCOPD患者が対象。最大負荷、最大酸素摂取量に明確な差は無かった。CRQの息切れスコアのWMDは-0.2点。6MWDの変化は差が無かった。

<結論>
インターバルトレーニングと持続トレーニングでは、運動耐容能やQOLの効果に差が無かった。インターバルトレーニングは、COPD重症度が増した患者の持続トレーニングに置き換わることができるかもしれない。

・トレーニングプロトコル:持続運動は、漸増負荷試験で得られた最大酸素摂取量の50-80%という中強度から高度の負荷でトレーニング。時間は20-45分。
インターバルトレーニングは、高強度運動を20秒-3分、低強度から中強度の運動を30秒-3分実施。
運動様式は、7文献で自転車エルゴメーターを採用、1文献は自転車かトレッドミルを選択できた。


A)最大負荷(watt)、B)最大酸素摂取量、C)乳酸閾値
どの文献でもトレーニングの仕方で有意差は無い。



6MWDの変化量。
運動の仕方で違いは無い。



CRQ息切れスコアの変化。
やや持続トレーニングの方が良くなる結果。

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重症になれば、息切れや低酸素が運動制限因子として出やすくなるため、インターバルは非常に有効な運動。
インターバルなしと差が無いので、運動が続かない症例には活用すべき。

2017/08/28

COPDの身体活動性低下に関連するバリア

Barriers associated with reduced physical activity in COPD patients

J Bras Pneumol. 2014;40(5):504-512

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25410838

<目的>
COPD患者のADL活動を評価すること;ADL活動のバリアを明らかにすること;これらのバリアと息切れ、6MWT、ADLスコアとの関係を明らかにすること。

<方法>
COPD患者と健常者を対象に歩数、歩行距離、歩行時間を7日間連続で3軸加速度計で測定。ADL評価表はLCADLを使用。息切れは2種類の評価、運動耐容能は6MWTで評価。

<結果>
40人のCOPD患者と40人の健常者が対象。平均歩行時間はCOPD患者で著明に低下(68.5時間/日 vs 105.2時間/日)、同様に歩行距離も低下(3.9km/日 vs 6.4km/日)。歩数もCOPDで少なかった。
患者が報告したバリアは、インフラの欠如、社会的影響、気力の欠如。6MWDは、加速度計の結果と相関していたが、LCADLの結果とは関連していなかった。

<結論>
COPD患者は、健常者よりも活動性が低下している。身体不活動とADL制限は、即座に介入すべきであり、早期介入を評価が必要である。

身体活動の制限となるもの。
環境と気力が最も多く回答されている。


6MWDが長ければ、身体活動性も高かった。
しかし、ADLとは関係なかったと。。。

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運動耐容能は身体活動性の必要条件であるが、十分条件とまではいかないのかな。
リハビリは身体活動性の向上だけでなく、生活(ADL)の改善も重要な仕事。

2017/08/26

特発性間質性肺炎と身体活動性の減少との関係

Clinical Correlates of Reduced Physical Activity in Idiopathic Pulmonary Fibrosis

Respiration 2016;91:497–502

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27240427

<背景>
特発性肺線維症(IPF)患者の身体活動性(PA)についてはあまり知られていない。

<目的>
IPF患者のPAの程度について調べること、肺機能、運動耐容能、症状、QOLとPAの関係について調べること。

<方法>
安定期IPF患者のPA(1日の歩数SPD、身体活動レベルPAL、活動強度中等度の時間MMA)
を加速度計で1週間測定。また、肺機能(FVC、DLCO)、運動耐容能(6MWT)、息切れ(mMRC)、疲労感(多面的疲労度評価;MFI-20)、包括的、疾患特異的QOL(SF-12、SGRQ)

<結果>
48人のIPF患者が2施設より集められた(平均年齢67歳、男性75%、長期間酸素療法23%、平均%FVC75%、平均%DLCO43%、6MWD355m)。2変量分析において、すべての変数が、歩数(SPD)と関連していた。mMRC、MFI-20、SF-12、6MWDとSPDは、肺機能と独立して関連していた。多変量解析において、6MWDとMFI-20が、SPDの独立した予測因子であった。

<結論>
疲労感と運動耐容能はIPF患者のPAの独立した予測因子であり、IPF患者のPAを研究するためには、この2つの評価を行うべきである。


2変数解析:歩数との相関
1日の歩数とそれぞれの評価との関係
すべての変数において、重症になると歩数が減少している。
最重度と中等度との有意差があったのは、
mMRC(p = 0.024), FVC (p = 0.007), D LCO (p = 0.028), and 6MWD (p <0.001).

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重症になると活動性(歩数)が低下している。
動作時低酸素や酸素療法との関係もありそう。

2017/08/25

身体活動性と心不全発症リスクの関係:a meta analysis

Dose-Response Relationship Between Physical Activity and Risk of Heart Failure: A Meta-Analysis.

Circulation. 2015 Nov 10;132(19):1786-94.


<背景>
これまでの研究で、身体活動性(PA)と心不全(HF)のリスクの関係について述べられてきた。しかし、PAとHFリスクの関係を包括的に検討されていない。

<方法>
18歳以上の参加者を対象にして、ベースラインのPAレベルとHFの発症についての関係を報告したものを解析。PAとHFリスクの関係についての分類は、無作為効果モデルで評価。一般的な最小二乗法回帰モデルを使用して、PA(METs)とHFリスクの関係について評価。

<結果>
12のコホートスタディを解析。370460の参加者のうち、20203人でHFイベントが発生。最も高いPAレベルはHFリスクの減少と関連していた。ガイドラインで推奨されている最小レベルのPA(500METs/week)である、レジャー時間以外のPA時間を比較すると、中等度のHFリスクが減少していた。
対照的に、最小PAレベルの2倍(1000METs/week)から4倍(2000METs/week)の活動をしていた患者は、リスクが軽減していた。

<結論>
PAとHFリスクには逆の線量効果反応があった。ガイドラインで推奨されている最小限のPAレベルよりもかなり多くのPAはHFリスクをかなり軽減するかもしれない。

・Dose-response :用量反応。投与量と生体反応の関係を表す曲線。ここでいうと、身体活動性と心不全発症リスク。一直線のグラフにならない。

身体活動性と心不全発症リスク。
PAが高いほど、発症リスクは低い。

用量反応曲線。
PAレベルが高くなるほど、リスクは低くなる。



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心不全も、身体活動性がカギになるかもしれない。ざっと読んだ感じ、身体活動の測定は、患者の自己申告によって評価していた(table1)。
呼吸器みたいに加速度計はまだ使われていない?

有酸素運動+呼吸筋ストレッチの効果

effects of aerobic training combined with respiratory muscle stretching on the functional exercise capacity and thoracoabdominal kinematics in patients with COPD: a randomized and controlled trial

International Journal of COPD 2016:11 2691–2700

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27822031

<背景>
COPD患者は、吸気筋の使用、胸部変形、息切れの軽減と運動耐容能の低下がある。ストレッチは、呼吸筋の活動を軽減し、全身状態を改善させる。しかし、ストレッチの全身的な効果に関しては知られていない。


<目的>
有酸素運動に加えて呼吸筋のストレッチを行うことが、運動耐容能や胸部運動を改善するかを検討すること。

<方法>
無作為化比較対照試験。30人の患者を治療グループとコントロールグループに分けた。
治療グループは、呼吸筋のストレッチを行い、コントロールグループは上下肢のストレッチを実施。有酸素運動は週2回を12週間計24セッション実施。
評価は、6MWT、運動中の光電子プレチスモグラフィー、表面筋電図。

<結果>
介入後、治療グループは腹部活動、区画容量、可動性、運動耐容能が改善。コントロールグループと比べてい息切れが減少。治療グループは呼吸筋努力が減少していた。

<結論>
有酸素運動と呼吸筋のストレッチを行うことは、運動耐容能の改善、息切れの軽減を示した。これらの効果は、呼吸筋力と腹部の活動の改善と関連している。


・呼吸筋ストレッチの方法:有酸素運動前に実施。ホールド・リラックスと他動的ストレッチを実施。ストレッチする筋は斜角筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、大胸筋、小胸筋、肋間筋、前鋸筋、腹直筋。
ホールドリラックスは、3秒等張性収縮を3回繰り返す。これを1セットで3セット実施。
他動ストレッチは1分間を3セット行う。

・コントロールグループの筋ストレッチ:手首、足首を屈伸させるストレッチを実施。

・有酸素運動は、6MWTの60-85%負荷で30分を目標に実施。息切れのborgscaleが4-7で行えるように徐々に負荷を増大させる。

呼吸筋ストレッチを行うと、分時換気量が増大、運動中の呼気量も増大


6MWTや息切れの自覚症状が改善



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セルフで行う呼吸筋ストレッチでもこれだけの効果が得られる。
継続することが改善につながると思われる。